ホタテの耳吊りに挑戦 統合前最後の漁業体験学習 吉浜中(別写真あり)
令和元年6月5日付 7面

大船渡市の吉浜中学校(村上誠校長、生徒35人)は4日、地元の根白漁港で恒例の漁業体験を行った。同校は来年度に第一中学校と統合するため、体験は今年が最後。1〜3年生がホタテの耳吊りに挑戦し、漁業者らから指南を受けながら、海のなりわいへ理解を深めた。
漁業体験は、同校がキャリア教育の一環で15年ほど前から毎年行っているもの。吉浜漁協(庄司尚男組合長)など地元漁業関係者の協力を得て、ワカメの芯抜きやホタテの耳吊りといった作業を体験。東日本大震災後は一時中断したが、平成25年から再開し続けてきた。
同校は、市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画に伴い令和2年春に閉校し、日頃市、越喜来両中学校とともに第一中学校に編入統合される。このため、今回は吉浜中として最後の体験機会となった。
耳吊りは、ホタテの殻に開けた穴に、「アゲピン」と呼ばれる返しのついた棒を通していく作業のこと。アゲピンは長さ10㍍余のロープに90本ほどつけられており、成長途中のホタテをつるす。
吉浜養殖組合(岡崎与一組合長)の組合員らも指導に協力。このほかに地域の有志らも参加して、多世代の交流風景が広がった。
4、5人の班に分かれた生徒らは、漁業者から作業の手順やコツを教わりながら慎重に作業。
慣れてくるとスムーズに手を動かし、大人たちから「上手」「筋がいいね」などと声をかけられ、笑顔を広げていた。
耳吊りを行ったロープは今後、吉浜湾内に設置。ホタテは1年後に出荷される。
大森若葉さん(3年)は「3年間の体験で作業は慣れてきたが、やっぱりプロの人たちの速さにはかなわない。漁業体験は海を身近に感じられる機会だと思うので、今後も残ってほしい」と願う。
岡崎組合長(60)は「子どもたちに地元の特産品を知ってもらいたい、地元に残ってほしいという思いで協力を続けている。〝海のまち大船渡〟の魅力が少しでも伝わればうれしい」と話していた。