登山客でにぎわいみせる 五葉山の「石楠花荘」 昨年改築完了 愛好者らが連日利用
令和元年6月5日付 7面

大船渡市、住田町、釜石市にまたがる霊峰・五葉山(1351㍍)の9合目にある避難小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」。昨年、改築工事が完了し、12月21日から供用が開始されている。供用開始直後から多くの登山者が利用し、好評を集めている。今後、夏山登山シーズンの本格化とともにさらに利用者が増加していきそうだ。
北上山系に属し、三陸沿岸随一の高峰である五葉山は、視界のよい日には山頂から山田湾や金華山、早池峰山などを一望できる。ツツジやシャクナゲの群落、ミネザクラをはじめ、無雪期には数々の美しい花が咲き誇るほか、ブナ、ミズナラなどの広葉樹やヒノキ、コメツガなどの針葉樹の原生林もみられる。
石楠花荘は昭和63年に整備。年間を通して多くの登山者に利用されていたが、厳しい風雨などにさらされて柱材などの老朽化が進んでいた。
大船渡、釜石、住田の2市1町で構成し、石楠花荘を管理する五葉山自然保護協議会では、登山者の安全確保を図ろうと昨年4月の通常総会で石楠花荘の改築を決定。同7月からの現地調査などを経て改築工事が実施され、基礎となっているコンクリートブロックはそのまま生かし、上部に木造平屋の新しい小屋を建設。12月21日に完成を迎えた。
新たな石楠花荘は延べ床面積53平方㍍で旧施設とほぼ同じで、最大収容人数は50人ほどとなっている。
供用開始後、近隣市町だけでなく盛岡市や一関市、北上市、宮城県石巻市など県内外からの多くの登山者が利用。毎年、石楠花荘で年を越す登山者もおり、今年も真新しい小屋で新年を迎えた人もいるという。
室内に置かれている「しゃくなげ荘らくがき帳」には「木の香りがして、とてもくつろげた」「快適に過ごせました」「次は泊まります」などと、多くの書き込みが寄せられている。
現在、五葉山ではツツジが見ごろを迎えており、連日、多くの登山者でにぎわっている。
今月2日には大船渡市観光物産協会によるツツジ観賞会も開かれ、約250人が登山。同日、〝ヨガ仲間〟たちと五葉山を登り石楠花荘を利用した大船渡市内の50代女性は「ペンションみたいですてきだし、快適で過ごしやすいですね」と話し、ゆっくりと休憩していた。
今後は夏山登山シーズンも本格化し、シャクナゲも見ごろを迎えることから、さらに多くの登山者の来訪が予想され、石楠花荘もにぎわいそうだ。