被災地の現状知る 札幌市の明園中学校 市内各地回り震災学習 大船渡
令和元年6月6日付 3面

北海道の札幌市立明園中学校(菊池浩樹校長、生徒348人)の3年生113人が5日、修学旅行の一環として大船渡市で防災学習を行った。中心市街地や三陸町などを巡りながら、震災被害や復興の現状に理解を深めるとともに、防災への意識を高めた。
同校では震災後、OBが㈱三陸鉄道に勤務している縁もあり、修学旅行の際には同社が運行している震災学習列車を利用するなどして災害に対する学びを深めてきた。
今回は、同市観光物産協会が窓口となり、一般社団法人・大船渡津波伝承館や市が学習に協力。同法人の防災教育ツール「おおふなと津波学習マップ」をもとに、この日のための「おおふなと津波学習課題冊子」が作成された。
生徒らは同日、15班に分かれて大船渡町、三陸町綾里、越喜来、吉浜の4地区を巡り、冊子を使ってフィールドワークを行った。
地区ごとに「ミッションシート」が用意され、被災地域を回りながら冊子にある震災関係の問題の穴埋め作業を展開。生徒自ら地域の被害状況や、過去の大津波などについて足を使って調べた。
フィールドワーク後は大船渡町の市防災観光交流センターに集合し、各班が問題の回答を述べ合った。
生徒会長の吉元蒼波さんは「地震のことは教科書で知ってはいたが、実際に現地に来て話を聞いたりして、災害のリアルさや恐怖感が増した。復興に向かう人たちの姿をみて、自分にも何か応援できればと思いました」と語った。
北海道では昨年、胆振地方中東部を震源とした大地震が発生し、甚大な被害が出た。同校のある札幌市東区も震度6弱の揺れに見舞われ、通学路が陥没。こうしたことから、生徒らの防災に対する意識は高まっているといい、菊池校長は「震災被災地の人の話を聞くことで、自分たちの身を守るすべを学んでほしい。災害を身近に潜むものととらえ、さらに防災意識を高めてくれれば」と話していた。