返済計画など「9月末までに」 債権巡る催告書を受け木工2組合が方針示す 住田町議会

▲ 初日は4議員が登壇した一般質問

 住田町議会6月定例会は11日に開会し、会期を14日(金)までの4日間と決め、荻原勝、瀧本正德、林﨑幸正、佐々木信一(いずれも無所属)の4議員による一般質問が行われた。世田米で木工団地を形成する三陸木材高次加工協同組合(三木)と、協同組合さんりくランバー(ランバー)に対する総額10億円超の貸付金残金回収の動きを巡り、当局は9月末までに両組合から返済計画などの報告を受ける見込みであることを明らかにした。

 

一般質問で当局が答弁

 

 融資金や立木未収金からなる両事業体への債権問題を巡り、町当局は2月、両組合の代表理事らに催告書を提出。一括返済か、今後の具体的な返済計画を書面でまとめるよう求めていた。この問題を取り上げた林﨑議員は「未償還金等への対応は、町の最重要課題」とし、今後の展開を質した。
 神田謙一町長は、両組合側から3月末にあった回答は、公認会計士を依頼して平成30年度決算に基づき財務分析を行う内容だったと説明。分析には6カ月程度を要するという。
 そのうえで「財務分析結果、事業運営のあり方、返済計画等の報告を受けて対応を協議する。報告時期は、事業体からの要望で、9月末までにいただく」と語った。この報告をもとに、当局や町議、町顧問らが加わる「対策チーム」での協議や、顧問弁護士や外部の公認会計士の意見などもふまえて〝次の手段〟を固めたい意向も示した。
 同議員はさらに、新たな木造建築材として注目されるCLT(直交集成板)の製造工場誘致でも質問。神田町長は「取り組んではいるが、誘致場所も含めて確定していない」と答弁し、千葉純也林政課長は土地の造成期間や日程なども提示しながら企業側と調整を重ねている現状を明かした。
 トップ登壇の荻原議員は、来年度からの次期「人口ビジョン・総合戦略・総合計画」の策定について質問。現計画の目標人口は「2040年(令和22年)に4000人」とする中、見直しの必要性を尋ねた。現在の町人口は約5500人で、近年は年間1000人前後のペースで減少が続く。
 神田町長は「人口減少の速度は、実態として緩やかにはなっていない」と指摘。そのうえで「目標人口の設定も必要だが、どのような未来を描くのか、住田らしい豊かなまちづくりを享受するためにはどうしたらいいかなどを住民と話し合い、具体化していく必要がある」と答え、弾力的に検討する方針を示した。
 再質問で荻原議員は、現段階で目標人口を達成できる状況かどうかも追及。横澤則子企画財政課長は「次期総合戦略に基づく取り組み状況次第ととらえているが、目標値をまったく達成できない状況ではない」と答えた。居住者数だけでなく交流人口や関係人口拡大も念頭に置いた施策展開の重要性にも言及した。
 生活環境対策の推進を取り上げたのは瀧本議員。本年度までを期間とする中心地域活性化プロジェクトの推進などの観点から、国道107号と同340号などが交わる火石交差点付近の世小の森公園充実化や、年間約3万人の来訪者がある住民交流拠点施設・まち家世田米駅公衆トイレ設置といった対応を求めた。
 同公園に関して神田町長は、道路改良や鉄塔設置の各工事などが進み、今月中には利用開始が見込める現状を説明したうえで「現段階では整備計画はないが、周囲の状況を勘案したい」と答弁。トイレは管理体制や費用対効果の検証といった課題を挙げ、次期総合計画策定と合わせて検討していきたい考えを示した。
 佐々木議員は、町が本年度から展開する「ストロベリープロジェクト」に関して質問。町内のイチゴ生産者育成と栽培支援、経営承継などを進めるプロジェクトで、具体的な取り組み策などに迫った。町内のイチゴ生産はかつては91戸が手がけて年間1億5000万円超を誇っていたが、近年は数戸に減少している。
 神田町長は「イチゴ栽培は初期投資が大きく、高度な技術を要する作物。この取り組みは、農業の第三者承継のモデルになる」と、意義を強調。イチゴ栽培を習得する地域おこし協力隊には1人の応募があり、今後面接を行う方針も示した。
 今定例会の日程次の通り。
 ▽12日=本会議(一般質問)▽13日=休会▽14日=本会議(議案審議)