農林会館と滝観洞観光センター 一般質問で当局と論戦 住田町議会

▲ 観光や文化面の拠点となっている施設のあり方を巡り論戦

 住田町議会6月定例会は12日、前日に続き通告に基づく一般質問が行われ、菅野浩正(無所属)、村上薫(同)、佐々木春一(日本共産党)の3議員が登壇した。公共施設の老朽化に伴う対応策を巡り、複数議員が当局と論戦。世田米の農林会館と上有住の滝観洞観光センターについて、当局は改修の必要性には理解を示しながらも、大規模修繕や改築には財政負担などの面から慎重な姿勢を示した。

 

施設老朽化への対応は

 

 滝観洞観光センターは築後47年が経過。老朽化が進むほか、階段が急勾配など不便さも指摘される。一方、近隣には釜石花巻道路の滝観洞インターチェンジがあり、今年3月の同線全線開通や三陸沿岸道路との接続によって交通アクセスが向上した。5月の大型連休中における入洞者数は2132人で、前年比1・5倍に達した。
 新たな施設整備を含めた再開発は、前日の一般質問でも取り上げられ、この日も村上議員が追及。「投資せずして、活性化はない」と、改築を盛り込んだ周辺環境整備計画を早期に策定すべきと迫った。
 神田謙一町長は老朽化に理解を示したうえ、「ハード事業の実施により財政負担が多大になると考えられることから、今のところ施設の安全確保や老朽化対策を中心に行っていきたい。将来性や経営の安定性を含め、施設を運営している住田観光開発と協議しながら、当面は観光センターの修繕や環境整備を進めたい」と答えた。
 同議員は「計画がないから、答弁が消極的なものになるのでは。(来年度からを期間とする)次期総合計画に入れるべき」と再質問。神田町長は「行政で行う事業・サービスは、優先順位も考えなければならない。住民一人一人の生活に必要不可欠で、行政でなければできないものが最上位になってくる。各分野の実態をふまえ、考えていかなければならない」と述べ、理解を求めた。
 整備から38年が経過した農林会館について取り上げたのは、佐々木議員。町役場に隣接し、集会や芸術・文化の活動拠点としての役割を担う一方で大規模修繕を望む声が聞かれるとし、「林業の町にふさわしい施設に改修すべき時期」と提言した。
 施設の現状について神田町長は、本年度は同館正面玄関タイルの修繕や自家発電の設備更新を進める予定で、他にも修繕を必要としている部分が出ていることを説明。「会館の利用にあたり緊急性のある部分については行うこととしている。大規模修繕については、公共施設全体のあり方を考慮し、役場周辺の整備計画が検討される時期に考えていきたい」と、早期実施には慎重な姿勢を示した。
 さらに、同議員は「震災後に気仙両市で公共施設整備が進む中、あまり好まれないような施設状態にしておくと、利用が低下する。町民に理解される方向性を示すべき」とし、検討時期の明確化を求めた。これに対して、横澤則子企画財政課長は「次期総合計画策定後の翌年度に、中心地域活性化構想と合わせて役場周辺の公共施設のあり方について考えていきたい」と述べた。
 トップ登壇の菅野議員は、令和3年度までを期間とする第4次町環境基本計画を巡り、住民生活にどのような形で反映されているかとの観点で質問。この中で、耕作放棄地などの雑草が生い茂ることで景観が損なわれるとし、自治公民館単位での活動推進を後押しするべきとして、当局の現状認識を尋ねた。
 梶原ユカリ町民生活課長は「町の単独事業『みんなでできるまちづくり事業』を利用し、住民組織による里山整備や河川周辺の下刈り、立木伐採などの動きが徐々に広がっているととらえている」と答弁。今後のさらなる自主的な動きに期待を込めた。
 一般質問は同日で終了。14日(金)午前10時に最終本会議が開かれ、本年度の一般会計補正予算などを審議する。