今年もモクズガニ放流 気仙川漁協 資源量確保へ計5000匹計画

▲ 山形県から送られてきた稚ガニを放流

放流時は甲羅の大きさが1㌢程度だが、3~4年後には8㌢前後にまで成長する

 気仙川漁協(小山公喜組合長)は20日、住田町と陸前高田市を流れる気仙川でモクズガニの放流を行った。本年度も、例年と同規模の約5000匹を計画。資源量の減少が叫ばれてきたが、地道な資源管理によって近年は回復傾向も見られ、漁協関係者はさらなる資源量増加や有効活用に期待を寄せる。
 モクズガニは川の中流や下流にすみ、甲羅が8㌢ほどにまで成長。日本の淡水の中では、最大種とされる。
 食用として親しまれ、横田町・川の駅よこたで毎年秋に開催される「あゆの里まつり」では、身や卵をふんだんに使った「ふわふわ汁」が人気。一方、近年は資源量の減少が指摘されてきた。
 今回放流を行ったのは世田米の小府金地内と、川の駅よこた付近の2カ所。山形県内で育てられ、甲羅の大きさが1㌢程度に成長した稚ガニ各500匹を、川に放した。
 作業を行った高橋弘紀事務局長は「昔はよく取れて、組合員の生計の助けになっていたが、絶滅の危機が叫ばれ規制が行われるようになった。近年は回復傾向が聞かれ、養殖をしたいという人も出てきており、産地としての復活が期待される」と話していた。
 本年度の放流計画数量は5000匹で、県内では最大規模。9月までに、残りの4000匹を気仙両市町の8カ所に分けて放すことにしている。
 同漁協では平成22年以降、東日本大震災が襲った23年を除いて毎年放流事業を実施。25年からは、かご網を50人まで許可する規制を設けながら、資源管理を進めてきた。
 捕獲は5㌢以上とし、網による漁業者には数量報告も求めてきた。28年度実績は約3800匹で、29年度は約2800匹、30年度も約3800匹だった。放流から捕獲できるまで成長するには、3~4年かかるという。
 近年、組合員は5㌢以下のリリースを徹底してきた。稚ガニ確保は年によって安定しないといった困難を抱えつつも、漁協では今後も放流事業は継続し、資源確保を図ることにしている。