進化の過程を旅しよう 「生命のれきし」展始まる 大船渡市立博物館
令和元年6月23日付 8面

東京都の国立科学博物館(科博)と岩手県立博物館(県博)によるコラボミュージアム「生命のれきし─君につながるものがたり─」は22日、大船渡市立博物館(平田功館長)で始まった。気仙にちなんだ資料も交えながら、約46億年にわたる生命の進化の過程を旅する内容となっており、多くの来館を呼びかけている。同展は『海の日』の7月15日(月)まで。
科博と県博がコラボ、7月15日まで
コラボミュージアムは、県内沿岸地域で開催中の三陸防災復興プロジェクト2019・三陸ジオパークワクワクフェスタによる「岩手の海とジオの魅力展」の関連事業として開催。同プロジェクトの実行委や科博、県博、県文化振興事業団が主催し、三陸ジオパーク推進協議会や市立博物館などが共催した。
同館多目的ホールをメーン会場に、約46億年前の地球誕生からいかにして生命が進化し、人類へと引き継がれていったかを解説。科博約70点、県博約10点、合計約80点の貴重な資料を展示した。
最初に登場するのは、嘉永3年(1850)に陸前高田市気仙町に落下した「気仙隕石」の一部。隕石は太陽系形成初期、惑星が形成された時代にできたものと考えられており、地球の形成過程を考えるうえで重要な手がかりになるといわれる。
地球誕生後、いまから38億年前までには大陸と海が現れ、海中では最初の生命が登場。その後、生命は海から陸上にも生活の場を広げ、数回の大量絶滅事件を乗り越えながら進化を遂げていった。
古生代の生物に関するコーナーでは、大船渡市内で発見された「クサリサンゴ」「日石サンゴ」「ハチノスサンゴ」「板皮魚類の棘板」の化石も展示。三陸ジオパークにちなみ、北上山地の誕生にも触れている。
展示の目玉は、迫力ある恐竜の全身骨格標本。このうち、「ニッポノサウルス」は日本領時代のサハリン南部から発見されたものという。背後には科博の展示室をプリントしたタペストリーが掲げられ、まるで科博を見学しているかのような気分も味わえる。

エントランスホールでも関連資料を紹介
エントランスホールには、ナウマンゾウの化石、ほ乳類の遠縁といわれる動物「ディメトロドン」の骨格標本などが並び、来館者らを生命の旅へと誘っている。
平田館長は「ごく一部の資料ではあるが、大船渡で国立科学博物館の雰囲気を味わってほしい。地元で発見された化石も展示しているので、改めて大船渡の地質が貴重であるかも認識してもらえれば」と話している。
同展では、今月30日(日)と最終日に県博の学芸員による「展示解説会」を実施。時間は両日とも午前11時からと午後2時からで、事前予約は不要。
館内ではほかに、陸前高田市立博物館との協働展示「気仙と津波〜大船渡・陸前高田〜」を8月18日(日)まで開催中。入館料は一般300円で、高校生以下は無料。毎週月曜日(祝日の場合は翌日)は休館。
問い合わせは同館(℡29・2161)へ。