市情報公開条例改正案は「継続審査」に 審議未了で廃案の公算 陸前高田市議会

▲ 採決により、市情報公開条例の改正案は継続審査とすることを決した

 陸前高田市議会6月定例会は25日、予算等特別委員会(委員長・大坂俊議員、議長を除く全議員で構成)を開いた。同委員会に付託されていた議案のうち、市情報公開条例の一部改正案については「継続審査する」と決し、27日に行われる本会議でも同様に決定される見通しとなった。しかし、現職議員が付託案件を審査できるのは任期満了を迎える9月10日までで、今期定例会が〝サヨナラ議会〟となることから、同改正案は「審議未了」で廃案となる公算が高まった。
 行政文書の開示請求にあたり手数料を定めるとする同議案をめぐっては、前日の24日に当局との質疑応答が行われ、委員からは「市民の『知る権利』に反するのでは」などとして、条例改正に慎重を期する声が相次いだ。
 この日は付託事件の採決にあたり、委員1人が「否決すべき」と発言。2人の委員からは「開示請求のハードルを高くすることに納得はいかないが、市職員が苦労している実態も明らかになった。拙速に決めることはできない」「市民の皆さんの納得が得られていない」などとして、「閉会中の継続審査」を求める動議があった。これを受けて採決が取られ、出席委員15人中12人の賛成により継続審査とすることに決した。 
 一方、継続審査とした付託案件については、議員任期を超えて審査することができない。今後、9月の議員任期満了を前に臨時議会が開催されたとしても、臨時議会においては議長から市長に対する告示依頼がない限り継続審査中の案件についての議決は行えないため、このまま「廃案」となる可能性が濃厚となっている。
 採決の結果を受けて戸羽太市長は、報道陣の取材に対し「議会の考えを尊重する。今回の議論を通じ、職員が大量請求の対応に苦労している実態については一定程度ご理解いただけたのではないか。これをきっかけに、少しでも状況がよくなるよう期待したい」としたうえで、「今後、議案として審議することがないとしても、職員の精神的・肉体的な負担軽減については考えなければならないと思うし、皆さんと議論していきたい」と述べ、仮に廃案になったとしても、議案の再提案を現時点では行わない考えを示した。
 同日はこのほか、復興交付金基金条例等の一部を改正する条例などの条例改正案8件と令和元年度一般会計および特別会計、水道事業会計の各種補正予算5件について「原案可決すべき」という結論に達した。