〝早取りサンマ〟お目見え 鎌田水産の第十五三笠丸 大船渡市魚市場(動画、別写真あり)

▲ 市魚市場に初めて水揚げされた公海のサンマ

 本州のトップを切って26日、大船渡市赤崎町の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)所有の第十五三笠丸(千葉博幸漁労長、199㌧)が公海で漁獲したサンマ約7㌧が同市魚市場に初水揚げされた。同魚市場に「公海サンマ」が水揚げされるのは初めてということもあり、入札では〝様子見〟の買い受け人も多くみられた。一方で、実際に食した消費者からは好評の声もあった。例年より約2カ月も早く初水揚げされた〝早取りサンマ〟の今後の価格や消費動向に注目が集まる。

 

本州のトップ切り初水揚げ

公海で操業、漁獲した約7㌧

 

 これまでは8~12月までとされてきたサンマ漁だが、省令改正に伴って通年での操業が可能となった。
 これを受け、全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は今月1日~7月20日を操業期間に自主設定。宮城、岩手両県や北海道などから計18隻が出漁し、9隻ずつ2グループに分かれて交代で操業し、漁獲したサンマを洋上でロシアの加工母船に販売しているほか、同社所有の第十五三笠丸や第二十一三笠丸は洋上販売は行わず、自由操業を実施している。
 第十五三笠丸は、今月18日に公海に向けて大船渡を出港。その後、22日から23日にかけ、北緯40度東経157度の公海上でサンマを漁獲し、25日午後2時ごろに大船渡に入港した。
 26日は午前5時30分ごろから水揚げを開始。30匹入り、70匹入り発泡スチロール合わせて645箱と、12㌔入りと9㌔入りの冷凍サンマ369箱を次々と運び出していった。
 水揚げされたサンマは計約7㌧で、110㌘~120㌘が主体。市場内では、初めて姿を現す公海サンマの魚体を買い受け人が吟味。入札結果を示す電光掲示板の周りには人だかりができ、多くの市場関係者たちがどのような価格がつくのかに注目した。結果、生サンマには、1㌔当たり900円~800円の値がついた。
 鮮魚や自社加工品の卸売業を展開する大船渡市大船渡町の㈱産直上野水産(上野孝行社長)では、30匹入りを50箱購入。上野社長は「内陸部の取引先からの要望もあり購入した。生で出荷するが、まだあまり脂がのっていないようだ」と語った。
 同日は、市内の鮮魚店や産直施設などにさっそく水揚げされたサンマが並んだ。このうち、大船渡町笹崎にある㈱海の幸ふるまいセンターでは、生サンマを販売したほか、サンマの刺し身や焼きサンマ定食を提供。来店者からは「刺し身がさっぱりしていて、予想以上においしかった」などという声も聞かれた。
 同町から訪れた79歳の男性は「この時期のサンマがどんなものかと思って食べに来た。刺し身、焼きサンマどちらも満足して食べることができた」と話し、今季初のサンマを味わっていた。
 市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱の佐藤光男専務は「本州で初めてのことなので、商品、製品価値がどうなのかというところも見てみたかった。思ったよりは鮮度的なものはよかった。あとは消費者がどう味覚判断していくか」と話していた。