「沖出し」ルールを策定 津波発生時の〝目安〟に 吉浜漁協が漁業者らに公表 大船渡

 大船渡市三陸町の吉浜漁業協同組合(庄司尚男組合長)と県は、津波襲来時に漁船を沖合に避難させる「沖出し」のルールを策定し、このほど開かれた総会で公表した。ルールは、有事の際に漁業者が沖出しを行うかどうかの〝目安〟にするもの。県内では2例目の策定となり、漁船所有者らに活用を促している。

 

昨年8月に根白漁港で行われた実証試験の様子

県内で2例目

 

 ルールは、船を「船外機船」(採介藻、かご漁など)と「動力船」(養殖、定置、刺し網など)に分けて設定。さらに、それぞれ陸上滞在時と海上滞在時で状況を分け、津波規模ごとの避難海域や避難ルールを示した。
 このうち、陸上滞在時は、船外機船と動力船どちらも原則「沖出ししない」とした。海上滞在時は、船外機船が「それぞれの漁港等に帰港」「原則として沖出ししない」、動力船が「時間、漁港の状況、時間帯、季節、気象、海象等の状況を見て判断」となっている。
 津波規模ごとの避難海域=別掲=は、津波注意報・津波警報時が水深60㍍以上、大津波警報時が同90㍍以上、高さ10㍍を超す大津波発生時が同100㍍以上。
 このほか、津波到達までの時間により「沖出ししてもよい」とする内容や、日ごろの備えなど細かな項目もあるが、同漁協では「ルールはあくまで避難時の一つの目安。災害が起きた場合はそのときの状況に応じ、漁業者各自の判断に委ねるしかない」と、ルールが〝絶対〟ではないことを強調している。
 庄司組合長は「ルールについての資料は、すでに吉浜の漁船所有者全員に配布済み。いざというときの判断材料になれば。ルール策定を機に、沖出しに関わる訓練なども視野にいれながら、組合全体で安全意識を高めていきたい」と話している。