もてなしと感謝伝える シンガポールとの友好願い 陸前高田で絆コンサート(動画、別写真あり)

▲ 尺八奏者の川村さん(中央)とコトコットンによる演奏

 シンガポール共和国と陸前高田市の交流深化を期した「第3回・絆コンサート」は29日、高田町の市コミュニティホールのシンガポールホールで開かれた。東日本大震災後に受けた同国からの支援に感謝を表し、友好関係をさらに発展させていこうと、両地域に根差して活動する団体などが出演。2020年東京オリンピック・パラリンピックにおける本格的な交流事業に先立ち、市民らが同国を知るきっかけとした。 
 コンサートは、陸前高田市と協定を結ぶ㈱サロンドロワイヤルとゴールデンピーカン㈱(前内眞智子代表取締役)が主催。東京オリンピック・パラリンピック開催にあたって同市がシンガポールの「復興『ありがとう』ホストタウン」に登録したことを受け、同社が「両者の絆をいっそう太くつむぎたい」と、平成29年から同国で絆コンサートを開いている。3回目となった今回、初めて同市での開催となった。
 この日は、シンガポール国立大学生と卒業生らによる筝曲グループ「KotoKotton(コトコットン)」がトップバッターを務め、著名な尺八奏者である川村葵山さんとも共演。『コスモド・ラグーン』では、10分以上にわたる壮大な曲を典雅なハーモニーで聞かせ、『花は咲く』の演奏では来場者も一緒に歌声を合わせた。
 気仙町けんか七夕太鼓保存会は、「あゆみ太鼓」「休み太鼓」「けんか太鼓」で8月7日の伝統行事であるけんか七夕の一日を表現。クライマックスに向け、太鼓と笛が大きなうねりとなって響きわたると、シンガポールから訪れた人たちも大きな手拍子を送って盛り上げた。
 また、曲と曲の合間には、「市民が集まれる場所を造りたい」という思いから同ホールが建設され、それに対し同国が支援を行った経緯や、国に関する紹介も。会場にはマーライオンと獅子舞を融合させたオブジェも飾られ、注目を集めた。
 昨年9月に行われた第2回絆コンサートに出演した同市の太鼓団体・氷上共鳴会(鈴木武幸会長)は今回、裏方兼出演者としても奔走。
 同会の演奏前、ステージに立った鈴木会長は「昨年伺った際、皆さんにとても温かく迎えていただいた。きょうはおもてなしと感謝の気持ちを伝えたい。これからも陸前高田とシンガポールの関係が深まっていくよう願っている」とあいさつ。メンバーは『共鳴』を力強く打ち鳴らし、精一杯「ありがとう」の思いを伝えた。
 コトコットンメンバーで同大5年の靳潤(ジン・ジュン)さんは、「『花は咲く』をいっしょに歌ってくれたり、すごく温かい雰囲気でうれしかった。みんなとても優しくて、おいしいものもいっぱい食べました」と初めての陸前高田訪問を喜び、「これからも交流の機会があったらぜひ参加したい。皆さんにもシンガポールへ来ていただけたら」と笑顔を見せた。