〝木と鉄〟で魅力紹介 世田米に「まち歩きサイン」設置 住田

▲ ワークショップを重ねてデザインをまとめた「案内サイン」を設置

 住田町教育委員会の景観まちづくり関連プロジェクトと、町が進める木いくプロジェクトの連携による取り組みの一環で、世田米商店街などに新たな「まち歩きサイン」が設置された。豊富な森林資源に加え、近年は明治〜大正にかけて操業していた栗木鉄山跡への注目が高まる中で〝木と鉄〟にちなんだデザインに。古き良きたたずまいが広がる地域に調和し、関係者は交流人口拡大などに期待を寄せる。
 世田米地区は江戸時代、種山峠を越えて気仙郡に入り、世田米宿から白石峠を越えて盛宿に通じる盛街道の宿場町として栄えた。内陸と沿岸を結ぶ重要な役割を果たし、その名残が今も独特の古き良き街並みとして息づく。
 ともに地域の文化的資源を生かした取り組みを進める教育委員会と、木いくプロジェクトが互いに連携し、景観を生かしたまちづくりを進めようと、平成29年度から活動を展開。専門家や世田米地区の住民らを招いたワークショップを重ね、風景に調和した表示物や案内・回遊ルートを探ってきた。
 これまでの議論をふまえ、昨年度は町教委が町内の風景の魅力を伝える新たなガイドブック「すみた(住田町+世田米ガイドブック)」を発刊。巻末には、世田米商店街やその周囲に位置する12カ所を巡るまち歩きのモデルルートが紹介されており、先月までに全箇所での案内サイン設置が完了した。
 案内サインは「住田らしさ」として、木材と鉄製品を活用。盤面の木材は町内の民家に眠っていた材料を使ったほか、支柱の一部は、町内産の砂鉄や栗木鉄山ゆかりの鉄鉱石などを原料とした「たたら製鉄」で取り出したものを取り入れた。高さは1㍍ほどで、シンプルながらも落ち着きのあるデザインとなっている。
 ガイドブックは、教育委員会の受付などで配布。案内サインは昭和橋や光勝寺、天照御祖神社、泉田家蔵、馬見場跡などに置かれ、12カ所すべてを巡る所要時間は約1時間30分とみている。