第5期三陸創生実践塾 塾生9人迎えて開講 大船渡で

▲ 関塾長の講義を受ける塾生たち

 これからの新しい三陸の創造を担う市町村若手職員等を対象とした人材育成研修「第5期三陸創生実践塾」(県沿岸広域振興局主催)が1日、大船渡市大船渡町の市防災観光交流センターで開講した。初日は産業振興に関わる講義が行われ、塾生となった県内の若手行政職員らが受講。市町村の垣根を越えて地域課題の解決に向かい、三陸をけん引していこうとの気持ちを新たにした。

 

目指せ〝地域のけん引役〟 若手行政職員ら受講

 

 三陸地域の振興に携わる行政職員が、地域の復興状況や人口、経済動向を的確にとらえながら、現場重視の産業振興施策を立案、実践する能力を養う場として開催。塾長には、一橋大学名誉教授で地場産業や地域産業を主な研究テーマとする現場主義の経済学者・関満博氏を迎え、平成27年から各地で研修や公開講座、施策発表会などを行っている。
 今期は気仙両市や宮古市、釜石市、久慈市、普代村、県沿岸広域振興局職員から塾生9人を迎えて開講。初回はオープン講義となり、塾生に加えて県職員、商工会議所、一般合わせて約40人が参加した。
 はじめに開講式が行われ、同振興局の宮昌隆副局長が「真剣さと楽しさを持って臨んでほしい」とあいさつ。引き続き、関塾長が「地域振興人材としてのマインド形成について」と題して講義した。
 講義では、関塾長が産業振興の目的として「外貨(所得)を稼ぐ」「雇用を創出する」「人々の生活を支える」の三つをあげ、それぞれ先進的な事例を挙げながら解説。
 このうち、外貨獲得では、25年に閉校した旧馬場目小学校(秋田県五城目町)の校舎を活用した企業向けレンタルスペース「町地域活性化支援センター(通称・馬場目ベース)」についても紹介。同センターは県内外から起業家が集まり新たなビジネスを創出する場として注目され、全国からの視察が後を絶たないといい、「巨大企業を誘致しようという『ホームラン狙い』ではなく、五城目町のように『バントヒットと盗塁』を地道に重ねるような誘致も必要」と指摘。
 雇用創出については、戦後間もないころまでは村の〝長〟たちが若者のために事業を起こし、雇用を生み出していったとし、「これからは、地域振興を推進していく新しい長が必要。地域を豊かにして、将来につなげていくのは、市町村の若手職員や若手経営者、銀行、商工会議所、JAなどの皆さん。行政は経営戦略を持ってそれを実行していかなければならない。そういう意識で、一歩踏み込んだ取り組みが求められる」と訴えた。
 同日はこのほか、元宮古市産業振興部長で現在は行政書士事務所代表を務める佐藤日出海氏による講義も開かれ、塾生らが企業訪問の仕方や企業の分析手法について学んだ。
 塾生たちは今後、企業訪問や講座受講などを経て、来年1月には塾生たちによる発表会に参加して、地域産業政策のアイデアを発表する。