純住田産の甘みを満喫  メープルシロップ使い調理実習 住田高校(別写真あり)

▲ 木村さん(右から2人目)を囲んでメープルシロップを生かしたメニューを試食する生徒たち

 県立住田高校(菅野誠二校長、生徒90人)で5日、町内産のメープルシロップを生かした調理実習が行われた。豊富な森林資源を誇る町では、未利用広葉樹の活用を模索する中で、昨年からカエデの樹液を採取してメープルシロップにする取り組みを試験的に行ってきたほか、本年度は岩手大生が研究を重ねる。高校生は自然の甘みを味わい、住田が持つ自然資源の魅力に理解を深めていた。

 

町内のカエデから採取 

 

 メープルシロップは、カエデ類の樹液を煮詰めた自然素材の甘味料。カナダ産が主流だが、近年は国内の中山間地で地域活性化や特産品開発の一環で生産に挑む動きが出ている。
 住田町内にもカエデをはじめとした広葉樹林が多くあり、その活用策として昨年から樹液を採取する取り組みを試験的に実施。今年は岩手大学農学部森林科学科4年で、森林保全生態学研究室に所属する木村愛梨さん(22)=盛岡市=が町産の「メープル事業」をテーマとした研究・卒業論文制作に取り組み、町も協力しながらさらなる活用を模索してきた。
 この動きと合わせ、住田高校でも家庭科「フードデザイン」の一環で、先月から3年A組の生徒14人がメープルシロップを使った学習を展開。インターネットなどを使って調理方法を調べ、先月には実習で試作し、課題などを整理。今月1日のカエデなどについて学ぶ講習を経て、本番の調理実習を迎えた。
 この日使用したメープルシロップは、今年2〜4月に龍振鉱業㈱の町内社有地で水野建設社員がハウチワカエデとウリハダカエデから採取し、煮詰めたもの。生徒は5グループに分かれ、鶏肉の照り焼きやクッキー、バターメープルポテトの各調理に挑戦した。
 実習には木村さんや、岩手大学農学部の松木佐和子講師らも参加。事前にまとめたレシピに沿って手を動かし、こはく色のメープルシロップを入れて焼き上げたり、フライパンで煮詰めると、室内はやさしい香りに包まれた。会食ではそれぞれの調理品を味わい、自然素材の豊かな甘みを堪能した。
 大学いも風のバターメープルポテトを担当した新沼優斗君(17)は「採取日や、木の種類でも風味が違うことを知った」、栗村真衣さん(17)は「住田でメープルシロップができることは知らなかった。とてもおいしかった」と、それぞれ笑顔を見せた。
 木村さんは「住田は資源量が多く、カエデの種類も豊富。採取した樹液をブレンドするなどして住田ブランドが生まれるかもしれない。森の恵みを味わうことができる素材として『森林・林業のまち』をPRする起爆剤になれば」と話していた。
 今後は町の協力を得ながら資源量調査などを行い、論文をまとめる方針。町でも活用策を検討するほか、住民参加型の取り組み拡大にも期待を寄せる。