気仙勢チーム紹介③大船渡、第101回全国高等学校野球選手権岩手大会/11日開幕

初戦7.15 対遠野緑峰 花巻球場第2試合

 

それぞれが〝夏の主役〟に

 

 プロ注目の最速163㌔右腕・佐々木(3年)を擁する大船渡。佐々木が軸のチームではあるが、投手一人に頼らない形を求めて練習、実践に取り組んできた。その過程で生まれた選手一人一人の責任感。それぞれがチームの〝主役〟という気持ちを持って、この夏を戦い抜き、66チームの頂点を目指す。


基本のプレーしっかりと

チームを引っ張る3年生たち

 

 今年のチームの攻撃は、「アウトにならない打撃」を目指して取り組んできた。四球、逆方向への安打だけではなく、犠打でも出塁を狙う。
 全員がホームランを打てるわけではないため、どの打順でもつなぐことを意識する。場面によって長打を狙うのか、進塁打に徹するか、選手たちがそれぞれ考えながら打席に臨む。
 守りでは、相手に〝ビッグイニング〟を与えないよう、一つのプレーでしっかりとアウトを取ることを意識する。複数人の投手は状況に応じて継投か、完投かを判断していく。
 大船渡は、今春の県大会には沿岸南地区第1代表として出場したが、初戦で同地区第3代表の釜石に敗れた。
 「チャンスで一本が出なかったり、小さなミスが悪い流れにつながる。どの試合でも、何が起こるか分からない」と千葉主将は振り返る。
 公式戦の難しさを学び、敗戦後から基礎練習に徹底して取り組んできた。
 千葉主将は「どこが相手でもやることは同じ。自分たちの野球ができるよう、大会までに調子を上げていければ」とし、「大会に向けてチームのムードも高まってきている。甲子園に行けるよう頑張りたい」と力を込める。

 

大会に向けて調整する佐々木

プロ注目右腕も闘志燃やす

 

 佐々木にとって高校最後の夏──。「負けたら終わり。チームが勝つためにも、相手の攻撃をゼロに抑えていきたい」と、静かに闘志を燃やす。
 これまで、県外の強豪校とも試合を重ねてきた。「甘いところに投げると打たれるが、自分が持っているものを出せれば抑えられるということも、甲子園が遠いものではないということも分かった」と手応えを口にする。
 打者としても打線の中軸を担っている佐々木は「ランナーがたまった状態で回ってくることが多い。自分の打席で返せたら」と投打の要としての責任感がにじむ。
 「チームとして、35年ぶりに甲子園に行きたい。4月の高校日本代表1次候補研修合宿で一緒になったメンバーとも、甲子園で戦いたい」と夏の頂を見据える。
 同校の國保監督は「佐々木一人に頼らない形を求めてやってきた過程で、選手それぞれに自覚、責任感が芽生えた」と語り、「一人一人の内に秘めた闘志が見えてきた」と頼もしげに選手たちを見つめる。
 そのうえで、「自分たちの限界を超えて、人生で一番いいプレーを毎試合してくれたら」と期待を込めた。