2019参院選岩手選挙区/気仙も与野党対決軸の展開

▲ 実質的な与野党対決を物語るポスター掲示板

 第25回参議院議員通常選挙は公示から1週間になろうとしている。岩手選挙区(改選1)には、届け出順に、立憲民主、国民民主、共産、社民の各党が推薦する無所属の新人・横澤高徳氏(47)=矢巾町、自民党公認で公明党推薦の現職・平野達男氏(65)=北上市・3期、政治団体「NHKから国民を守る党」の新人・梶谷秀一氏(53)=東京都新宿区=の3氏が立候補。21日(日)の投票に向けた選挙戦は与野党対決の様相を呈しており、気仙地区では復興大臣の経験を持つ平野氏が先行し、野党統一候補の横澤氏が浸透を図りながら追う展開。梶谷氏は支持基盤がなく広がりを欠いている。

 

平野氏…復興相など知名度で先行
横澤氏…共闘で浸透図り追い上げ
梶谷氏は独自の運動

 

 今回の参院選は4日公示され、岩手選挙区では、立憲民主、国民民主、共産、社民の4野党連合と、自民、公明の与党側の対決を基軸とした選挙戦が繰り広げられている。
 野党統一候補として臨む横澤氏は、自らの車いす生活の経験も踏まえ、「強く優しさを持つ日本を岩手からつくりたい」と訴え、消費税増税などには反対姿勢をとる。 
 気仙での知名度は高くなく、推薦の各党支持層や労働団体が主体となって浸透に努める。7日に気仙入りして街頭演説に臨んだ際は、4党からの協力要請を快諾していた達増拓也知事、国民民主党県連副代表の田村誠県議(大船渡選挙区)らが付き添い、支持を呼びかけた。
 3期18年の実績を持ち、初代復興大臣も務めた平野氏は、復興の完遂や農林水産業振興、国際リニアコライダー誘致などに意欲を見せ、政権与党の立場にある意義も示す。
 自民支部や鈴木俊一東京オリンピック・パラリンピック担当大臣後援会が基盤となり、友党の公明と連動。平成28年の前回選での非自民勢力の一部にも支持を広げる。自民として、選挙区で27年ぶりの議席確保へ、気仙の遊説には鈴木大臣や甘利明党選挙対策委員長も応援に入っている。
 NHK放送のスクランブル化などを掲げる政治団体から出馬した梶谷氏は、選挙区内での活動は行わずにインターネットを通じて訴えを広げるとして、遊説やポスター掲示を行わない独自の運動を展開。気仙に基盤となる組織などはなく、支持の広がりを欠いている。
 今回と同じく3氏が立候補し、実質的な与野党対決の構図となった前回は、野党統一候補の新人・木戸口英司氏が32万8555票を得て初当選。自民の新人・田中真一氏は25万2767票だった。
 両氏の気仙での得票は、大船渡市で木戸口氏9485票―田中氏8378票、陸前高田市で木戸口氏5649票―田中氏4233票、住田町で木戸口氏1490票―田中氏1461票。合計は木戸口氏1万6624票―田中氏1万4072票という小差だった。
 選挙区で32ある改選数1の「1人区」で、今回も激戦区の一つに挙げられる岩手。気仙では29年の衆議院小選挙区の区割改定もあって、国政選挙をめぐっては長く「非自民」が強勢を誇ってきたパワーバランスに変化が見られ、そのすう勢も勝敗に影響しそうだ。
 3日現在の選挙人名簿登録者数は、大船渡市3万1654人(男1万5082人、女1万6572人)、陸前高田市1万6820人(男8156人、女8664人)、住田町4854人(男2364人、女2490人)。