夏イチゴ出荷 本格化 ㈱リアスターファーム 陸前高田

▲ 出荷が始まった夏イチゴを手に持つ太田代表取締役

生産規模拡大の新事業も


 気仙地方の気候を生かしたイチゴの周年栽培に取り組む、陸前高田市米崎町の㈱リアスターファーム(太田祐樹代表取締役)で、夏イチゴの出荷が本格化している。今年2月に設立された同社は本年度、国の事業により大船渡市三陸町越喜来に建設されるハウスでの生産開始も見込む。収穫量増に向けた今後の取り組みに注目が集まる。
 同社を立ち上げた太田代表取締役(42)は、新潟県小千谷市出身。新潟大学大学院で博士号を取得後、岩手県農業研究センターの研究員に採用されて、平成26年に大船渡市に移住した。
 米崎町の被災跡地に設けられた園芸研究施設では、通常は冬~春が旬のイチゴを年間通じて収穫する方法を研究し、技術開発に成功。昨年春の就農後、研究に使われていたハウスを借り受けて県内初となるイチゴの周年栽培に取り組み、会社設立も果たした。
 夏から秋にかけて出荷されるイチゴは、育成が難しいことなどから全国的に量が少なく、希少価値が高い。太田代表取締役は、夏期冷涼で冬は暖かいという県沿岸部の気候に着目しており、将来的には全国規模での出荷も見据えて産地化を目指している。
 現在同社が販売している夏イチゴは、爽やかな香りと酸味が特徴の「信大BS8─9」と、糖度が高く甘い「なつあかり」の2種。気仙両市の洋菓子専門店や地元の産地直売所へ出荷しているほか、陸前高田市のふるさと納税の返礼品としても取り扱われている。
 出荷先の洋菓子店からは、完熟度や品質の高さで好評価を得ているという。出荷先が遠方にある場合、イチゴは移動時間を考慮してよく熟し切らないまま収穫される場合が多いが、地元出荷が主体の同社では完熟に近い果実を提供できることが強みでもある。
 本年度は、ハウスの規模拡大や人材育成に向けた新たな動きもある。
 大船渡市では、地域未来投資促進法に基づく地方創生推進交付金を活用した地方創生推進事業「夏イチゴ産地化プロジェクト」の一環で、越喜来浦浜地区の被災跡地にハウスや研究施設を整備し、夏イチゴのブランド化などを図っていく。国と県から「地域経済牽引事業」の認定を受けている同社も生産や技術指導に関わり、来春からの本格生産を目指しながら、別品種の栽培にも目を向ける。
 現状の課題は、取引相手の希望するサイズのイチゴの収量を確保すること。太田代表取締役は「要望に合う、品質の高いイチゴを買い手に届けることで会社の信頼を高めていきたい。そのためにも、自治体の補助金などを活用しながら生産規模の拡大を図っていく」と語る。
 社名の「リアスター」は、リアス式海岸の「リアス」と「スター」を組み合わせた造語だ。太田代表取締役は「〝三陸で一番の農園〟を目指し、今後も生産安定化へ尽力していく」と意気込む。