「改革たかた」が推薦 全員が会員、組織と連携図る 新人6人が出馬へ
令和元年7月14日付 1面

陸前高田市の政治団体「改革たかた」(伊東紘一代表)は13日、竹駒町内で記者会見し、9月1日(日)告示、同8日(日)投開票の同市議選(定数18)に、いずれも改革たかたの会員で無所属の新人6人が出馬し、全員を推薦すると発表した。選挙事務所などは個別に開設し、個々に公約を掲げる一方、改革たかたと連携を図り、一体的に「住民自治の実現」などを訴えていくとする。改革たかたは、今後も市議選への立候補予定者を推薦する考えがあることを明らかにしており、市議選を巡る情勢に大きな変化が生まれそうだ。
この日は、立候補予定者6人のうち5人が会見。はじめに伊東代表が「『真に開かれた住民自治の確立』という改革たかたの設立趣意にのっとり、候補者を推薦する。6人中3人は女性。ぜひ女性の力を発揮してほしいと思っている」とあいさつし、「これからもあと1、2人推薦を予定している人がおり、近いうちに発表できると思う」と述べた。
今回、改革たかたの推薦を受けた立候補予定者は、松田修一氏(52)=高田町・会社役員、佐藤善治郎氏(71)=小友町・任意団体代表、佐々木隆志氏(59)=米崎町・農業、大和田加代子氏(58)=同・社団法人代表、小澤睦子氏(63)=気仙町・畜産業、照井いくみ氏(55)=竹駒町・事務員=の6人。
この日は、小澤氏を除く5氏が会見し、いずれも「真に開かれた住民自治を目指す」という改革たかたの理念を共通して訴えながら、それぞれにマニフェストを掲げ、個々の主義・主張の浸透を図りたいとした。
松田氏は「陸前高田は〝もうかるまちづくり〟になっていないことを日々感じている。さまざまな経済主体やNPOが同じ方向を向くことができれば大きな力になるが、そこにはまだ行政の力が足りていない。市の事業評価も厳しく行い、予算の無駄を省きたい」と語った。
また、佐々木氏は「現在の市政、市議会に対して疑問がある。開かれた議会づくり、議会の活性化を一番の公約としたい。市政へのチェック機能の強化、住民への情報公開、市民参加のまちづくりを展開するとともに、豊かな地域資源を生かした産業振興の政策提言も行っていく」と意気込んだ。
佐藤氏と照井氏はそれぞれ「市が何をしようとしているか市民に伝わっておらず、行政の決定プロセスが分かりにくい。自分の疑問を解決するためにも、自ら立たねばと思った」「市の情報を共有し合える場が少なく、まちづくりに住民参加ができていない。すべての人に分かりやすく情報発信すること、市民の声を議会に届けるという役割を担えれば」と、市民への情報提供のあり方に疑問を呈するとともに、「真の意味での市民代表になりたい」と決意をにじませた。
大和田氏も同様に「行政と市民がしっかりつながり、ビジョンを共有することが大事。住民の意見を無駄なく吸い上げたい」としたうえで、「インバウンドの推進だけに取り組むのではなく、生活者としての外国人を支える共生社会を実現しなければ」と述べた。
推薦を受けた立候補予定者らは事務所、後援組織などは各人で設立し、個人としての活動の中で支持拡大を目指す一方、改革たかたと連携した前哨戦も展開していく考え。8月には改革たかたが住民自治に関するシンポジウムを開き、推薦された候補予定者らがパネリストとして議論を行う計画もあるという。
伊東代表は「全員、政治経験はないが、小手先のやり方ではなく、住民一人一人の意見をくみとっていこうという思いがある人たち。それこそが政治の原点」と述べた。
また、現在は現職議員のうち1人が改革たかたの会員となっているが、現職を推薦することについて伊東代表は、「当人が望めばそうしたい。ほかにも推薦を受けたいという方がいれば、本人と話し合って決める」とした。
告示まで2カ月を切った次期市議選に、新人が立候補を表明したのはこれが初めて。現職議員の多くが再選を目指す意思を示し、改革たかたの推薦を受ける以外にも複数の新人の名前が取りざたされる中、一挙に6人が出馬を明らかにしたのは過去に類を見ない事態であり、各町の勢力図にも大きく影響しそうだ。