地域のつながり生かして 三陸防災復興プロジェクト 大船渡でシンポジウム
令和元年7月20日付 1面

三陸防災復興プロジェクト2019の第3回シンポジウムは19日、大船渡市盛町の市民体育館で開かれた。県内外からの参加者が、講演を通して地域のつながりを生かした防災について学び、自然災害への備えに向けて意識を新たにした。
シンポジウムは、釜石、久慈に続いて大船渡が3会場目。市内外から合わせて約200人が来場した。
今回のシンポジウムのテーマは、「コミュニティを基盤とした防災力の向上~つながりの力で災害から地域を守る」。
はじめに、岩手復興局の大槻英毅局長が「皆さんには、震災復興にも引き続きご支援、ご協力をお願いしたい」とあいさつ。開催地を代表し、戸田公明大船渡市長が「全国的に多くの災害が多発しており、それに備えていくには一人一人の防災意識向上が必要不可欠で、自助、共助もきわめて重要。このシンポジウムを通して、防災に対する意識を高めていただきたい」と述べた。
このあと、元NHK解説委員で、国士舘大学防災・救急救助総合研究所教授の山﨑登氏が「災害情報と地域の防災力」と題して基調講演。国内外のさまざまな災害を取材してきた経験をもとに、災害への備えについて訴えた。
山﨑氏は「気象現象が変化し、災害の様相が変わり始めた。今度は、私たちの防災意識を変える番。私たちが変わらなければ、被害は拡大する一方」と指摘。住民の主体的な防災態勢について複数の事例を紹介し、「自分のこととして防災に取り組むための知識、備えをみんなが持たなければいけない時代になっている」と訴えた。
さらに「みんなが防災について考えて、防災の裾野を広げ、各地で防災リーダーを養成する」「少子高齢化や過疎の時代なので、人と人が助け合う地域コミュニティーを構築していかなければいけない」と呼びかけ、防災訓練が活発な地域では、祭りやイベントも活性化していることを強調。
そのうえで、「地域に関心を持つということは、すべての面に影響する。災害情報には命を救う力がある。それを生かすかどうかは、地域の取り組み次第」とし、自分の住んでいる地域について知り、過去の災害に学ぶなど「防災リテラシー」の向上に努めるよう促した。
講演後、事例報告が行われ、災害伝承語り部の吉田忠雄さん=赤崎町、岩泉町危機管理監の佐々木重光さんが、自主防災組織の活動事例や東日本大震災と台風10号の教訓を踏まえた活動についてそれぞれ紹介した。