イチゴ生産技術継承へ 地域おこし協力隊員に辞令 ストロベリープロジェクト始動 住田

▲ 辞令書を受け取る菊池さん㊧

 住田町が本年度から始めた「ストロベリープロジェクト」を担う町地域おこし協力隊員の辞令交付式は25日、町役場で行われた。着任したのは、埼玉県深谷市出身で、これまで宮城県仙台市内で不動産会社に勤務していた菊池一晃さん(39)。家族ぐるみで移住し、〝絶滅の危機〟にある町内のイチゴ生産技術継承を図る。
 交付式では神田謙一町長が辞令を手渡し、「手をかければ、かけた分だけ恩返しをしてくれるのが植物。やりがいのある業務であることは間違いない」とエール。菊池さんは「事業を引き継ぐのはもちろんだが、仲間をつくりながら再び一大産地となるように頑張りたい」と語った。
 菊池さんは、妻と小学生3人の子どもとともに移住。志望理由は「新規就農の支援に加えて、任期終了後もそのままイチゴ生産を引き継げるのが魅力。子どもたちに、自分の働いている姿を見せられる仕事に就きたかった」と話す。
 農業分野の仕事は未経験だが、「観光農園を考えていく時には、不動産取引や開発業務をやっていた経験が生きると思う。前の職場では、飛び込み営業もやっていた。まずは人脈を広げていきたい」と、今後を見据える。
 今後は世田米のイチゴ生産者に〝弟子入り〟し、栽培技術のノウハウを学ぶ。任期は1年だが、最大3年間活動できる。
 町内では昭和50年代以降、高収益作物の一つとして露地栽培でイチゴ生産に取り組む生産者が増加。同61年には91戸が手がけ、収量は177㌧、生産額は1億5000万円超に達した。
 その後、ハウスなど施設栽培型に移行する生産者は少なく、収量や生産額は減少。現在は数戸となっている。
 イチゴはそもそも、面積あたりの収益性が高く、農地面積が少ない町内に適した品目。気仙両市でも、被災した土地利用策などとしてイチゴ栽培が広がりをみせている。
 町は菊池さんの活動を後押ししながら、既存生産者からの経営承継や、栽培に取り組む町内生産者を支援。「住田町をもう一度、イチゴの産地に」を合言葉に、官民一体の取り組みを進める。