溺者搬送で全国大会出場へ 消防救助技術大会 気仙地域の消防士2人

▲ 全国消防救助技術大会に出場する大澤さん㊥と上野さん㊨

 大船渡地区消防組合住田分署所属の消防士・大澤偉さん(23)=大船渡市立根町=と同組合大船渡消防署所属の消防士・上野梢さん(25)=同猪川町=が、8月25日(日)に岡山県岡山市で開かれる「第48回全国消防救助技術大会」(一般財団法人全国消防協会主催)の水上の部・溺者搬送種目に出場する。東北代表として大会に臨む大澤さんと上野さんは26日、大船渡市役所を訪問し、戸田公明市長に健闘を誓った。
 同大会は救助活動に不可欠な体力、精神力、技術力を養うとともに、全国の消防救助隊員が競い、学び合うことで、模範となる隊員の育成などにつなげるもの。陸上と水上の2部門に分けられ、各地の予選を勝ち抜いた隊員らが出場する。
 水上の部の溺者搬送は、救助者があごを確保し引き寄せる「チンプール」で要救助者を確保し、髪の毛をつかんで運ぶ「ヘアキャリー」により救助するまでの、安全確実性と所要時間を評価する2人一組の訓練。大澤さんと上野さんペアは、大澤さんが救助者を、上野さんが要救助者を務める。
 大澤さんと上野さんは、今月18日に宮城県総合運動公園で開かれた「第48回東北地区支部消防救助技術指導会」に出場。6チームが出場した同種目で2位となり、上位2チームに与えられる全国大会への出場権を得た。上野さんは、大船渡消防本部初の女性全国大会出場者となった。
 2人は26日、同組合消防本部の橋本洋治消防長らとともに、大船渡市役所を表敬訪問。
 大澤さんは、昨年の水上の部・基本泳法で全国大会の出場権を得たが、台風第20号などの影響で大会が中止に。今回は出場種目を変えて、上野さんとペアを組み挑戦した。
 3歳ごろから小学6年まで水泳をやっていたという上野さん。一度水泳から離れていたが、消防救助技術の指導会への出場をきっかけに再開した。
 大澤さんが練習メニューを考え、5月の連休明けから2人での訓練を重ねてきた。所属が違うこともあり、一緒に練習できないことも多かったという。
 大澤さんは「スポーツと違い救助する訓練。減点項目も意識しながら、迅速・確実に取り組みたい」と、上野さんは「今まで一緒に練習してきた。大会までしっかりサポートしていければ」と意気込みを語った。
 監督を務める大船渡消防署の石橋良消防士長は「シンキングレスキュー」をテーマに訓練してきたといい、「自分で考えるという訓練をし、その成果が出たのだと思う。全国で成績を収めて、地元で活躍してもらいたい」と話していた。