「道の駅」9月22日開業 震災津波伝承館や地域振興施設 陸前高田(別写真あり)

▲ 向かって左手が津波伝承館、右手が地域振興施設となる「道の駅高田松原」のエントランス。奥の切通空間から先が国営追悼・祈念施設の「祈りの軸」となる

県産材がふんだんに使われた地域振興施設の内部

 陸前高田市で高田松原津波復興祈念公園の整備を進める国と県、市は、同公園内の国営追悼・祈念施設の一部と、東日本大震災津波伝承館(いわてTSUNAMIメモリアル、館長・達増拓也知事)や地域振興施設をはじめとする「道の駅高田松原」を、9月22日(日)に利用開始すると発表した。震災の教訓伝承と犠牲者への追悼の場、三陸沿岸部へのゲートウェイ(玄関口)として、本県を代表する施設となることが期待されている。

 

追悼・祈念施設の一部も


 同公園は国、県、市が陸前高田市気仙町の国道45号沿いに整備。震災犠牲者の鎮魂と追悼、教訓の伝承、復興への強い意志の発信、にぎわいの創出、多様な主体の参加・協働と交流などを基本方針に掲げる。全体の整備完了は令和3年度の計画となっている。
 このうち、9月22日に利用を開始することが決まったのは、国営追悼・祈念施設の一部(「祈りの軸」「海を望む場」「献花の場」「奇跡の一本松」)と、津波伝承館を含む道の駅高田松原。9月20日(金)にラグビーワールドカップが開幕することに合わせたオープンで、国内外からの利用者が見込まれる。
 追悼・祈念施設に含まれる「祈りの軸」は、道の駅と高田松原防潮堤をつなぐもので、同軸上には「献花の場」や防潮堤上の「海を望む場」が設けられる。また、ここから「奇跡の一本松」に通じる見学通路も整備される。
 道の駅高田松原は、平成27年に国土交通省が「重点道の駅」に選定。道路情報施設、追悼・祈念施設の休憩所、貴賓室、24時間トイレをはじめ、津波伝承館施設、物産機能を担う地域振興施設から成り、延床面積は約7000平方㍍。伝承館と地域振興施設はそれぞれ約1500平方㍍ずつとなっている。建物の建築費は21億1000万円で、国が一括発注した。
 正面エントランス頭上の壁面には、大震災の犠牲者の数に近い1万8300個の有孔パネルを使用。夜になると穴からLEDの光がもれ、大津波で亡くなった人たちへの追悼の思いと、尊い命を二度と失うことがないよう、教訓を伝承していく決意を表現する。かさ上げ部の中心市街地からも、その光を望むことができる。
 地域振興施設は、陸前高田の農林水産物や特産品、加工品の販売等を通してにぎわいの場を創出するもの。強い集客力を確保し、三陸沿岸への誘客、インバウンドをはじめとした交流人口の拡大も図る。
 エントランスなどと同様、施設内部にも県産カラマツなどをふんだんに使用。板を組み合わせて作られた壁面パネルは、木目や色味などのバランスまで考えて1枚ずつ張られたという。
 市観光交流課の村上聡課長補佐は、「開業後はぜひ、細部までこだわり抜いた内装も見てほしい」とする。
 愛称を「いわてTSUNAMIメモリアル」とする津波伝承館は、「いのちを守り、海と大地と共に生きる」をテーマに、写真と映像、震災遺物などを展示。解説員も常駐し、「1000年に1度の巨大災害」と言われた東日本大震災津波の被害の実情と、そこから学ぶべき教訓を伝える。
 県震災津波伝承課の熊谷正則総括課長は「いよいよオープン日が決まった。開業まで2カ月を切っているので、残りの期間、職員一丸となって準備を進めていきたい」としている。
 9月22日は午前中にオープニングセレモニーを行い、一般入場は午後からとなる見込み。