水産取り巻く課題解決を 海洋環境適応研究会を設立 大船渡、気仙沼両商議所(別写真あり)

▲ 大船渡と気仙沼の両商議所が海洋環境適応研究会を設立

 海洋環境の変化によるサンマなど主要水揚げ魚種の漁獲不振や水産加工業の労働力不足といった水産業の課題を受け、大船渡商工会議所水産業部会(部会長・森下幹生森下水産㈱代表取締役)と宮城県の気仙沼商工会議所水産流通部会(同・阿部泰浩㈱阿部長商店代表取締役)は30日、合同の「海洋環境適応研究会」を設立した。今後は県境を越えて海洋環境変化に対応するための勉強会や実証などに取り組み、諸課題の解決、産地としての三陸のブランド化などを図っていく。

 

県境を越えた連携活動へ

 

 大船渡市と気仙沼市はともに世界三大漁場の一つといわれる三陸沖に面し、リアス式海岸による天然の良港を有する。平成23年の東日本大震災では、両市の港も甚大な被害を受けたが、ハード面での復旧が進み、三陸自動車道等の交通網も整備されて震災前より短時間で往来できるようになった。
 一方、水産加工業は震災による販路喪失や労働力確保の難しさ、輸送コストの拡大などを理由に、売り上げが震災前まで回復していないという問題を抱える。さらに、海洋環境の変化によるサンマや秋サケ、スルメイカなど主要水揚げ魚種の漁獲量が不安定になってきていることも大きな影響を与えている。
 気仙沼商議所水産流通部会は本年度、近隣漁港都市商工会議所との連携強化や共通課題の把握、解決策などの検討を目的とした「三陸沿岸地域の産地間連携強化」を図ろうと、4月から大船渡商議所側と協議。漁業や水産加工業が抱える諸問題に県境を越えて対応すべく、学識経験者らも交えた海洋環境適応研究会を設立することとした。
 設立協議会は大船渡商工会議所で開かれ、各部会の役員、岩手大学農学部食料生産環境学科の石村学志准教授、経済産業省東北経済産業局地域経済部東日本大震災復興推進室の油川一義室長、研究会事務局の㈱流通研究所(神奈川県厚木市)の関係者ら15人が出席。気仙沼商議所の清水敏也副会頭があいさつを述べた。
 大船渡市で大船渡食品工場を運営する阿部部会長は「三陸という枠組みで互いが手を携え、復興を実現するとともに、海洋環境に対応することが必須。三陸沿岸部の水産業が商工会議所のネットワークで強固につながり、ゆくゆくは青森、岩手、宮城3県の広域連携につながるよう期待する」とあいさつ。
 森下部会長は「両市の基幹産業である水産業界が、県をまたいで共通課題に立ち向かっていくことになった。皆さま方に後押しをしていただきながら、諸課題を解決していきたい」と意欲を示した。
 概要説明をはさみ、森下部会長と阿部部会長が設立趣意書にサインし、握手を交わした。また、今後の予定を確認し、油川室長の講評、石村准教授のあいさつも行われた。
 研究会は今後、▽海洋環境変化の現状と将来的な予測に関する情報収集、勉強会の開催▽海洋環境変化に対応した先進事例の収集、当該活動者との意見交換▽海洋環境変化に対応する取り組みの方向性に関する検討・協議▽海洋環境変化に対応する具体的な取り組みの実践、実証▽海洋環境変化に対応する取り組みの実践、実証結果の公表──の諸活動を計画。
 活動には、産業経済省の「東日本大震災被災地域中小企業等人材確保支援事業(水産加工業イノベーション人材確保事業)」を活用。キックオフ事業として、9月6日(金)午後1時から盛町のリアスホールで東北経済産業局によるイノベーション講座「原料不足時代の事業モデルを考える」を開催する。
 その後は情報交換や事例などを学ぶ場となる研究会、産地としての三陸のブランド化、原料調達や未利用資源の活用等に向けた事業モデルの構築などを進めていくとしている。