2019県議選/大船渡区は競争選濃厚 告示まで1カ月切る 陸前高田区は無投票か

佐々木茂光氏

伊藤力也氏

千葉 盛氏

 任期満了に伴う県議選の告示まで1カ月を切った。大船渡選挙区(定数1、大船渡市)は5期目の現職・田村誠氏(70)=赤崎町、改革岩手=が今任期限りで勇退することを明らかにし、表明順に市議の千葉盛氏(36)=猪川町、無所属=と元市議で会社役員の伊藤力也氏(59)=三陸町綾里、同=の新人2人による競争選が濃厚。陸前高田選挙区(定数1、陸前高田市・住田町)は3選を目指す自民党公認の現職・佐々木茂光氏(61)=気仙町、自由民主クラブ=のみが名乗りを上げており、無投票の公算が大きくなっている。

 県議選は9月10日(火)の任期満了に伴い、今月30日(金)告示、9月8日(日)投票の日程で実施。先月31日には、県選挙管理委員会が大船渡市猪川町の県大船渡地区合同庁舎で立候補届出の事前審査を行い、出馬予定の3陣営が臨んだ。
 大船渡区で出馬の意思を固めているのは、千葉氏と伊藤氏の2人。田村氏は7月29日、今任期で勇退し、後継候補を擁立しない考えを明らかにした。
 ほかに立候補への動きは見られておらず、千葉氏と伊藤氏の一騎打ちとなる可能性が高い。新人同士による選挙戦となった場合、大船渡区の定数が1になった平成19年以来、初めてのこととなる。
 千葉氏は大船渡高校、東北学院大学法学部を卒業。19年から24年まで、元参議院議員・藤原良信氏の秘書を務めた。
 同年の市議選で初当選し、28年に再選。2期目は教育福祉常任委員長や大船渡地区消防組合議会議長などを務めた。会派は光政会に所属している。
 「地域の活性化を図り、魅力あるまちづくりをしていくためには、県とのさらなる連携強化が必要」として、医療や教育、産業、観光、スポーツなどのあらゆる面で広域的な連携強化ができる体制づくりに取り組む考えを示す。
 政党や団体への推薦要請は考えていないといい、知事選に立候補予定の現職・達増拓也氏(55)と連動した選挙戦を行う考え。後援会(鈴木祀治会長)を再構築するとともに、地域回りや企業への働きかけを通じ、支持拡大を図りたいとしている。近く正式に出馬表明を行う予定。
 伊藤氏は高田高校、明星大学理工学部を卒業。現在は船舶製造会社で専務取締役を務める。
 20年の市議選で初当選し、連続3選。3期目は議会運営委員長や所属会派の光政会で会長を務めたが、6月28日付で議員を辞職した。
 先月26日に出馬を正式表明し、「復興事業を完遂させたい」と重要路線の整備や被災跡地の利用促進などに意欲を見せた。「内陸部との均衡ある発展を目指さなければならない」として、観光交流人口の拡大などの各種施策も掲げる。同日の事務所開きには、後援会(阿部操八会長)の関係者や支持者、市議2人を含む約50人が出席した。
 政党や団体への推薦要請などは考えていないという。後援会体制の再構築、強化を図って地域回りを進めているほか、今後はミニ集会なども通じて自身の政策を訴え、支持を広げていきたいとしている。
 新人2人の選挙戦となる公算が大きくなる中、両陣営ともに残り1カ月弱の前哨戦でいかに広く浸透を図り、集票に結びつけられるかがカギとなりそう。勇退を表明した田村氏の後援会(菅生哲修会長)は自主投票とする方針としており、選挙戦への影響も注目される。
 一方、陸前高田区で立候補を予定しているのは、現時点で佐々木氏のみ。新人擁立の動きは見られていない。
 佐々木氏は、2度目の挑戦となった23年の県議選で初当選し、27年の前回選は無投票で再選。県議会では自由民主クラブに所属し、県土整備委員長を務める。
 6月1日、正式に出馬を表明。3選に向け、「震災からの復興事業は進んだが、地域住民の『復興の実感度』はまだ低い。風化が進む中、政権与党とつながりを持ち、地元の声をしっかり届けられるよう働きたい」と、復興の完遂や産業振興、地域医療の充実などに意欲を示した。
 先月28日の事務所開きには、後援会(岡本紘一会長)の役員や支持者ら約80人が出席した。
 今後は地区ごとに懇談会を開き、新たな支持者の掘り起こしなどに努める。自民党や地域政党、さらに自民の推薦を受けて知事選に出馬予定の元県議・及川敦氏(51)と連動した活動を行う考え。
 前回選に続き無投票の可能性が高まる中、岡本会長は「いつ誰が出てきてもいいように、準備だけはしておく」と話している。
 7月3日現在の気仙の選挙人名簿登録者数は、大船渡市3万1654人(男1万5082人、女1万6572人)、陸前高田市1万6820人(男8156人、女8664人)、住田町4854人(男2364人、女2490人)。