西陣織で鮮やかに再現 被災地応援の作品展開幕 国宝や金澤翔子さんの書 陸前高田

▲ 国宝の仏像を西陣織で織り上げた掛け軸

寂聴さんの仏画を再現した作品も並んだ

 ダウン症の書家・金澤翔子さんの書や、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんの仏画を西陣織で再現した「西陣美術織忘れない東北 日本巡礼展」(同実行委主催)は3日、陸前高田市高田町の市コミュニティホールで始まった。京都や奈良の国宝の仏像を西陣織で織り上げた掛け軸なども展示され、市内外の来館者が伝統の技術を駆使した精緻を極める作品を鑑賞した。展示は7日(水)まで。

 

7日まで 入場無料

 

 東日本大震災の被災者を勇気づけるとともに、市外から人を呼び込み、被災地の現状を伝える機会としようと企画したもの。震災発生から10年の節目を迎える令和3年までに、東北50カ所を目標に巡回展示する計画で、同実行委は津波で甚大な被害を受けた同市を1カ所目の会場に決めた。
 京都・広隆寺や奈良・興福寺が所蔵する国宝の仏像などを西陣織で表現した「織成像(しょくせいぞう)」の作品展「織りなす祈りの美 糸のみほとけ展」も併催。金澤さんの書や寂聴さんの仏画の織画を含め、計50点ほどの作品が展示された。
 来年の東京五輪・パラリンピックに合わせて開催する文化芸術の祭典「日本博」に、メーンの国宝仏像として展示される聖林寺(奈良)の「十一面観音菩薩立像」の織成像も飾られた。縦1・8㍍、横0・65㍍のほぼ原寸大の掛け軸で、1年がかりで制作した大作といい、関心を集めた。
 多数の工程を要し、多くの職人が分業して完成させる西陣織。先染めしたいくつもの縦糸と横糸を組み合わせた目を引く作品ばかりが並び、来館者はじっくりと眺め、緻密な技を堪能していた。
 住田町世田米の女性(75)は「素晴らしいの一言。初めて見たが、まるで本物のようで驚いた。京都や奈良の仏像を直接見ることはできないのでとてもありがたい」と鑑賞を楽しんだ。
 同実行委の石森治委員長(60)=一関市=は「一人一人感じ方は違うと思う。少しでも皆さんの心に残り、癒やしにもつながってほしい。そして西陣織という技術の素晴らしさも伝える機会としたい」とPRする。
 同展は入場無料で、展示時間は各日午前10時〜午後5時(最終日は午後3時まで)。
 問い合わせは石森委員長(℡090・7074・7829)まで。