協定生かし充実の学び 外国人研修生と対話も 津田塾大生が現地活動 住田

▲ ベトナム出身の研修生(右側)と対話する津田塾大の学生たち

 住田町と「連携協力に関する包括協定」を結ぶ津田塾大学(東京都、髙橋裕子学長)の学生たちが、8日まで4日間の日程で同町に滞在し、地域の活性化策を探る「フィールドワーク」を行った。同町は外国人の割合が県内でもトップクラスにある中、ベトナム出身の研修生に暮らしぶりを聞いたほか、住田高校生とも交流。学生ならではの問いかけで浮かび上がったヒントも多く、関係者は協定を生かした振興策や地域課題解決に期待を込める。

 

活性化や情報発信探る

 

 津田塾大の学生数は約3200人。大学の学芸学部には英文、国際関係、数学、情報科学などの各学科、総合政策学部に総合政策学科がある。
 総合政策学科の森川美絵教授らは平成25年前後から、東日本大震災被災地における医療・福祉・介護連携分野の支援をきっかけに、住田とのかかわりを強めてきた。こうしたつながりを地域活性化や大学教育・研究推進につなげようと、昨年2月に協定を締結した。
 学生による住田での現地活動は、協定締結後は昨年8月に続き2度目。総合政策学科などの学生9人と、森川教授が訪れた。
 学生たちは情報発信、医療介護、外国人共生などのテーマに沿って、町内各地を回り、関係者と対話。現状に耳を傾けながら、課題や将来像などを尋ねた。
 同学科3年の足立百音さん(21)と掘江悠希さん(20)は5日、住田フーズで勤務するベトナム出身の外国人研修生3人と対話。来日までの経緯や寮生活、将来の思いなどを尋ねた。
 今月時点で住田フーズで働く外国人研修生は57人で、町内人口の1%を超える。このほかにも研修生を採用している事業所があり、同町は県内でも外国人が占める割合がトップクラスにある。
 学生たちが質問を投げかけると、研修生は日本語で回答。ベトナムでの口コミで住田フーズでの勤務を選択したことや、普段の生活ではSNSを利用していることなどが話題に上った。
 町内でのクッブ大会や産業まつりに参加している半面、平日は事業所と寮の往復で、休日は買い物などをして過ごしているという。対話では、地域住民らと日常的にかかわる機会が少ないことが浮き彫りになった。
 堀江さんは「もっと交流の機会が増えれば、地域にもいい影響が生まれ、研修終了後も住田に住みたいと思う人が増えるかもしれない。自炊のために野菜を育てているとも聞いたので、地域の人と一緒にやるといったことでもできるのでは」と話していた。
 学生たちは6日、住田高校を訪問し、同校生徒らと情報発信を見据えた共同プロジェクトに向けて協議。7日は3グループに分かれ、それぞれ栗木鉄山見学や介護事業所訪問、子育て中の外国人への聞き取りなどを行った。
 今後は学生が見いだした活性化策のアイデアや研究内容を、地域住民とどう共有していくかが注目される。
 森川教授は「学生自身の問題意識や関心事を、住田の現状にすり合わせ、将来像や活性化策を探ることができている。協定があることで、各分野のキーパーソンと接点を持ちやすく、充実した学びにつながっている。地域への還元も大事にしたい」としている。