住田町で成人式開催 県内のトップ切って 34人の門出を祝福(別写真あり)

▲ 役場庁舎前で記念撮影に臨む新成人たち

 住田町の令和元年度成人式は11日、町役場で開かれた。今年も県内のトップを切る夏開催で、34人の門出を祝福。一人ずつ名前が呼ばれた新成人は、多くの保護者や恩師らが見守る前を歩き、育ててもらった感謝を込めながら今後の飛躍を決意。庁舎内に設置された木造仮設住宅を前に、古里や復興への貢献も誓い合った。

 

「令和最初」笑顔晴れやか


 気仙3市町では唯一、お盆の帰省時期に合わせている住田町の成人式。県内をみると、夏開催の市町村でも15日が多く、本年度もトップを切っての門出となった。
 対象は、平成11年4月2日から12年4月1日までに生まれた同町出身者と町内在住者計34人(男性22人、女性12人)で、昨年度に比べると28人少ない。この日は約7割にあたる25人に加え、小中学校時代の恩

師や町関係者、町議ら計約80人が出席したほか、晴れ舞台をひと目みようと保護者も多数詰めかけた。
 式では国歌斉唱に続き、出席した新成人を一人ずつ紹介。大きな声で返事を響かせたあと、中央の通路を歩いて自席に戻り、家族や町関係者に成長した姿を示した。保護者の前で立ち止まり、握手を交わす姿も見られた。
 神田謙一町長は「自立した個人として社会に責任を持ち、守られるだけでなく、周囲を守る立場になる。自分とは異なる意見を持つ人や、社会的に弱い立場に置かれている人々の声に耳を傾け、社会がより良い方向に進んでいくために自分ができることを考え続けてほしい」と式辞。
 菊池孝町議会議長による祝辞に続き、新成人を代表して今野萌香さん(20)=岩手大学2年、有住中出身=が答辞。同日は東日本大震災の月命日であることに触れ、「8年5カ月前、小学5年生だった私たちは、周囲で何が起こっているのか、どうすれば良いか分からず、誰かが何とかしてくれるのを待つことしかできなかった」と振り返った。
 そのうえで「私たちは今、一人一人が言動に責任を持ち、社会の一員として向上心を持って精進する覚悟。郷土の誇りと期待を胸に、それぞれの場所でまい進することを誓う」と決意を込めた。
 終了後は、屋外で記念撮影。引き続き、役場内の交流プラザでは新成人らによる実行委員会(荻原一樹委員長)が企画、運営を担った会食交流会「味わい知る ふるさとすみた」が開催された。

展示されている木造仮設住宅の前で会食交流会も開催

 会場内には三陸防災復興プロジェクトの一環で設けられた木造仮設住宅があり、新成人たちは懇談の合間に内部を見学しながら、住田町が震災以降に果たしてきた後方支援の足跡に理解を深め、復興後の未来を担う自覚を高めていた。
 荻原委員長(20)=世田米中出身=は現在、住田住宅産業に勤務しており、交流プラザ内の木造仮設住宅整備にも携わった。「作業を通じて、1日で建てることができる利便性や木の温もりを感じた。住田で建設された木造仮設住宅の技術が、将来にも生かされてほしい」と話していた。
 成人式では本年度も、町の「木いくプロジェクト」の一環でつくられた木製カードケースを新成人に贈呈。新成人の多くは実家から離れて暮らす中、「町からの発信に協力を」として現住所やメールアドレスなどの個人情報を記入してもらう時間帯も設けた。