木造仮設の展示延長 住田町役場交流プラザ内 帰省者らに配慮してあすまで 

▲ 帰省客らにも見学してもらおうと、あすまで展示を延長

 住田町は16日(金)まで、東日本大震災直後の平成23年夏に東京都で展示した部材を生かした木造仮設住宅を、役場内の交流プラザで展示している。当初は今月7日までの三陸防災復興プロジェクト2019に合わせた展示だったが、帰省者らにも目にしてほしいと延長を決定。8年以上にわたり甚大な被害を受けた気仙両市や被災者とはぐくんできた「つながり」を発信している。
 海に面していない住田町は、大津波による直接的な被害は免れたが、発災直後から甚大な被害を受けた気仙両市に隣接する自治体として積極的に後方支援活動を展開。特に、町独自整備の木造仮設住宅は、全国的にも注目を集めた。
 発災3日後には建設を決断し、町営住宅や旧幼稚園の各跡地、旧小学校の校庭を利用し3団地に計93戸を整備。火石(世田米、13戸)は23年4月25日、本町(同、17戸)は5月6日、中上(下有住、63戸)は同23日に完成した。
 町は三陸防災復興プロジェクトに合わせ、震災後に後方拠点として活動した足跡などに光を当てた情報発信展示「つながりの風景」を企画。その目玉として、木造庁舎内に町が独自に整備した仮設住宅を再現し、6月1日から公開を始めた。
 今回展示した仮設住宅は、23年8月に東京都港区の六本木ヒルズアリーナで展示した部材を活用。町内で保管されていたものを、住田住宅産業の従業員らが役場内で組み立てた。
 本来の展示期間は今月7日までだったが、お盆の時期に合わせて帰省する町出身者らにも目にしてもらおうと、展示期間を延長。住宅内を自由に見学できる。
 木のぬくもりにあふれる過ごしやすさを体感できるほか、各種団体の支援活動をまとめたパネル展示などが充実。仮設住宅の通路沿いなどに整備され、居住者や町外から訪れた人々との交流を支えた木造ベンチの実物、音楽家・坂本龍一さんが代表の森林保全団体モア・トゥリーズが支援したペレットストーブも並び、震災からの歩みを見つめ直すことができる。
 展示住宅前には訪れた人々が記帳できるノートを置いており、町によると、これまで2000人超が来訪。地域住民だけでなく研究活動で訪れた大学生や行政関係者らも目立ち、町は「さまざまな地から訪れた方々に、住田が震災以降大事にしてきた『つながり』を広く感じていただき、持ち帰っていただくことができた。今後の防災などにつながれば」としている。
 15、16日は午前8時30分~午後5時に展示する。19日(月)の午前から、撤去作業が始まるという。