地元・横田に〝凱旋〟 砲丸投げ選手の佐藤さん 町民らが「応援する会」 陸前高田(別写真あり)

▲ 砲丸投げ選手の佐藤さんが地元・横田町民らと交流

 陸前高田市横田町出身の砲丸投げ選手・佐藤征平さん(27)=新潟アルビレックス=の激励会が14日、同町の横田地区コミュニティセンターで開かれた。謙虚な姿勢で競技に向かい、日々の研さんを積み重ねてきたことによって日本トップレベルの実力者に成長した〝郷土のほまれ〟を応援しようと地元住民らが集まり、佐藤さんのさらなる活躍に期待を寄せた。

 

さらなる飛躍願う

 

 佐藤さんは、昨年の福井国体成年男子砲丸投げで初優勝。今年は3月に自己ベストとなる18㍍13㌢をマークし、各種大会でも優勝や準優勝といった成績を収めるなど、国内トップクラスの選手として着実に実績を積み上げている。
 地元・横田では福井国体後、産直「川の駅よこた」に、同国体で優勝した時の記録と同じ長さ17㍍70㌢の横断幕が掲げられるなど、住民らが地域をあげて佐藤さんを応援。今後の飛躍を願い、町民有志による「佐藤征平くんを応援する会」(村上豊繁代表)が佐藤さんの里帰りに合わせて激励会を企画した。
 町内の事業所が協賛し、この日は会場の横田コミセンで焼き鳥などがふるまわれ、統合により閉校した旧横田中学校の卒業生らが伝統の「若竹太鼓」を披露。佐藤さんの後輩たちが力強い演奏で先輩へエールを送った。
 村上代表(49)は「横田からこのように素晴らしいアスリートが生まれた。征平君は震災でお父さんを亡くされたが、『なにくそ魂』でずっと頑張っている。私たちは一番の応援団として彼を盛り上げていこう」と集まった住民らに呼びかけた。
 佐藤さんは、昨年と今年の陸上日本選手権で3位入賞した時の銅メダル二つを持参し、来場者の首にかけるなどして交流。子どもたちを肩に抱き上げるなど力強い姿を見せ、「頑張ってね」という声援に応えたほか、砲丸投げに挑戦するよう勧めてくれた中学時代の恩師とも再会した。
 佐藤さんは高田高校卒業後、国士舘大学に進み、昨年まで国士舘クラブに所属。今年、新潟アルビレックスとプロ契約を結んだ。故郷を離れて久しいが、佐藤さんがいつも励みにしてきたのは、地元からの応援の声。「個人種目ゆえに、孤独な面もある。支えてくださる人が多いほどやりがいも大きく、力になる」と佐藤さんは語る。
 この日の激励会についても「こんなに大々的なものだとは思わず、驚いた。これだけの人たちが思ってくださっているんだなと、感無量です」とほおを緩めた。
 今季は安定した成績を残せていると感じる一方、磨かねばならない技術、乗り越えるべき課題も見えてきたという。日本の砲丸投げ競技はまだまだ欧米選手と肩を並べられるレベルではないといい、期待される東京五輪への出場も「今の段階では難しいと言わざるをえない」と厳しい表情を見せた。
 しかし「だからといって『無理だ』とは思いたくない。最後まで努力を続ける」と佐藤さん。肉体的なトレーニングだけでなく、呼吸と姿勢を強く意識することが競技にも有効というヨガを始めるなど、日常生活のあらゆる面で研さんを怠らない。
 佐藤さんは「離れているからこそ、地元を思う機会も多い。記録を出すことで故郷を、そして陸上界を盛り上げていけたら」と表情を引き締めた。