2019岩手県議選/大船渡区は2新人の争いへ 告示まで2週間
令和元年8月16日付 1面
30日(金)の県議選の告示まで、残り2週間となった。5期目の現職・田村誠氏(70)=赤崎町、改革岩手=が今任期限りでの勇退を表明した大船渡選挙区(定数1、大船渡市)は、正式表明順に元市議で会社役員の伊藤力也氏(59)=三陸町綾里、無所属=と、市議の千葉盛氏(36)=猪川町、同=の新人同士による争いが確実視される。陸前高田選挙区(定数1、陸前高田市・住田町)は3選を目指す自民党公認の現職・佐々木茂光氏(61)=気仙町、自由民主クラブ=以外に出馬表明がなく、無投票の可能性が色濃くなっている。
陸前高田区は無投票濃厚
今県議選は9月10日(火)の任期満了に伴うもので、同8日(日)に投開票が行われる。
大船渡区では先月29日、田村氏が今任期での勇退と後継候補を擁立しない考えを表明。伊藤氏と千葉氏の2人が立候補の意思を固めている。
伊藤氏は高田高校、明星大学理工学部を卒業。現在は船舶製造会社の専務取締役を務める。
平成20年の市議選で初当選し、連続3選。県議選への出馬に向け、6月28日付で議員を辞職した。
先月26日に開いた出馬表明会見では、「復興事業を完遂させるために頑張りたい」と、重要路線の整備や被災跡地の利用促進などに意欲。さらに、「大船渡地域と内陸部の均衡ある発展」「人がつどい、にぎやかであんしんな大船渡」を掲げ、観光交流人口の拡大、沿岸地域間の連携、道路アクセス環境の構築などにも取り組む考えを強調した。
同日の事務所開きには、後援会(阿部操八会長)の関係者や支持者、市議2人を含む約50人が出席。政党や団体への推薦要請は「考えていない」とし、現在は地域回りやミニ集会を通じた支持拡大を図っている。
伊藤氏は「地域回りを通じ、名前がまったく知られていない状態ではないと感じるが、引き続き浸透を図っていかなければならない。これまでの活動を継続し、自らの考えを訴えていきたい」と力を込める。
千葉氏は大船渡高校、東北学院大学法学部を卒業。19年から24年まで、元参議院議員・藤原良信氏の秘書を務めた。
同年の市議選で初当選。28年に再選を果たした。
今月6日、「県と沿岸地域とのパイプ役となり、県とともに国へ完全復興に向けた課題解決を働きかけていきたい」と正式に出馬を表明。子育て支援の充実や、若者・子育て世代を中心とした移住定住促進、医療体制の強化、気仙沿岸地域と内陸部を結ぶ道路といった基盤整備などに取り組む決意を示した。
政党や団体への推薦要請は「考えていない」としているが、知事選に立候補予定の現職・達増拓也氏(55)を支援する政治団体「希望郷いわてを実現する会」の一員として、連動した選挙戦を見据える。後援会(鈴木祀治会長)では、25日(日)に事務所開きを予定している。
前哨戦は、地域回りに注力。千葉氏は「感触はいいが、地域によっては県議選自体への関心が薄いように感じる。若い人にも関心を持ってもらえるよう、訴えを広げたい」と意気込む。
大船渡区では定数が1になった19年以来、初の新人同士による選挙戦となる見通しで、両陣営は後援会を中心とした草の根による前哨戦を展開。選挙戦に向け、それぞれが掲げる政策をいかに各世代に発信し、支持拡大に結びつけられるかが注目される。
一方、陸前高田区で立候補を予定しているのは佐々木氏のみで、ほかに新人擁立の動きは見られていない。
佐々木氏は、陸前高田市議3期目の19年県議選に出馬したが涙をのみ、23年の前々回選で初当選。27年の前回選は無投票で再選した。
6月1日の正式出馬表明では、「震災の風化が進む中、政権与党とつながりを持ち、地元の声をしっかり届けられるよう働きたい」と決意を語った。復興の完遂や産業振興、地域医療の充実、少子高齢化にかかる人口減少対策、道路網の整備を活動目標に掲げる。
先月28日の事務所開きには、後援会(岡本紘一会長)の役員や支持者ら約80人が出席。陸前高田市議4人、住田町議3人も同席した。
選挙戦は、自民党や地域政党に加え、自民の推薦を受けて知事選に出馬予定の元県議・及川敦氏(52)を支援する政治団体「新しい知事をつくる会」と連動する考え。
現在は、地域回りや各地区での懇談会を展開。現職としての実績も示しながら、市議時代からの支持層の足固めと新たな票の掘り起こしに努めている。
7月21日の参院選当日時点における有権者数は、大船渡市が3万1556人(男1万5038人、女1万6518人)、陸前高田市が1万6771人(男8125人、女8646人)、住田町が4838人(男2360人、女2478人)。