郷土や先祖に思いはせ 灯ろう供養や芸能競演 越喜来で「三陸港まつり」(別写真あり)

▲ 先祖供養の灯ろうを前に舞う浦浜念仏剣舞の子どもたち

 大船渡市三陸町越喜来の三陸公民館で16日夜、第45回「三陸港まつり」が開かれた。先祖供養の灯ろうが並んだ中で郷土芸能などが繰り広げられ、会場を訪れた住民や帰省客たちは、ふるさとへの思いをはせながらお盆のひとときを過ごした。
 同まつりは、地域住民による手づくりの祭典を通して、地域の活性化やふるさとづくりに対する意識高揚を目指そうと、実行委員会(古水力実行委員長)が主催。三陸町の盆行事として定着している。
 東日本大震災前は越喜来漁港を会場としており、災害復旧工事が終わった昨年は同漁港で開催。今年もその予定だったが、西日本を縦断した台風10号の影響で風雨に見舞われ、三陸公民館に移した。
 圓満寺からの灯ろう行列や漁港での流灯供養、花火の打ち上げはとりやめ、公民館ステージに先祖や震災犠牲者供養の灯ろうを並べ、開会に先立って供養式を実施。僧侶による読経が流れる中、来場者が焼香して静かに手を合わせた。
 このあと、地元の金津流浦浜獅子躍と浦浜念仏剣舞、陸前高田市広田町の赤磯太鼓―ARATA―、釜石市鵜住居町の鵜住居虎舞が競演。いずれも震災被災を乗りこえた団体で、鎮魂の祈りや復興の願いも込めた舞や演奏を繰り広げ、大きな拍手を受けた。
 古水実行委員長は「震災という大きな出来事があったが、多くの支援で45回まで回数を重ねられた。越喜来のつながりを薄れさせないためにも、さらに盛り上げていきたい」と話していた。

復興支援の大学生とともに小中学生が手掛けたペットボトル灯ろうの文字パネルを点灯

 同日、会場には、大学生らでつくる復興支援団体「Youth for Ofunato(ユース・フォー・オオフナト)」などの協力で地元の小中学生たちがつくったペットボトル灯ろうの文字パネルが設置された。統合により来年3月で閉校する越喜来中の生徒たちは、「ありがとうの心~君から君へ~」のメッセージを掲げ、地域と母校、復興支援への感謝を発信した。
 また、日中は子ども郷土芸能交流が行われ、浦浜念仏剣舞と吉浜剣舞、埼玉県の開智中学高等学校が元気いっぱいに演舞した。