サンマ漁に向けて出港 鎌田水産㈱所有6隻 大船渡(動画、別写真あり)

▲ 北海道に向け、6隻のサンマ船が出港した

 20日の大型船のサンマ漁解禁に向け、大船渡市赤崎町の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)が所有するサンマ漁船6隻が17日、大船渡港から出港した。同日は乗組員の家族や関係者、地域住民らが航海の無事と豊漁を祈って各船を見送った。水産庁の予報によると、今年のサンマ来遊量は昨年を下回る見込みとされており、漁況が注目される。

 

いざ、北の海へ
盛大に「出船式」を開催

 

 この日は大船渡町の市魚市場を会場に、さかなグルメのまち大船渡地域振興委員会(委員長・戸田公明大船渡市長)と、さかなグルメのまち大船渡実行委員会(及川廣章代表)主催の「さんま船出船式」が行われ、乗組員や家族、同社社員、地域住民ら合わせて約600人が訪れた。
 式では、戸田市長と鎌田社長が航海の無事と大漁への期待を込め、乗組員にエールを送った。
 続いて、各船の漁労長に子どもたちから花束が贈られ、第八三笠丸の清枝光臣漁労長(76)が「一丸となって頑張り、いい結果を出したい」と決意表明。盛大な餅まきのあと、合わせて約100人の船員を乗せた6隻が離岸した。
 船からはカラーテープがなびき、集まった関係者らはいつまでも手を振り続けながら、船員らの無事を祈っていた。
 国内のサンマ漁は近年、不漁が続いている。全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)によると、平成30年の全国の総水揚げ数量は11万9930㌧で前年比55%増、金額は225億2515万円で同5%増。平成に入ってから最低の水揚げ数量に終わった29年を上回ったものの、最盛期には及んでいない。
 大船渡市魚市場への昨年の水揚げ量は1万7379㌧(前年比57%増)で、金額は31億3231万円(同7%増)。前年に続いてともに本州1位を維持し、全国では北海道の花咲港に次いで2位の実績となったが、水揚げ量は2万㌧に届かなかった。
 水産庁がこのほど発表した長期予報によると、今季のサンマ漁は、9月中旬までの来遊量は極めて低調に推移し、同下旬以降に増加するものの漁期を通じた来遊量は前年を下回るとされている。
 今年は5月1日~7月20日までの期間に公海での本格操業が行われた。岩手、宮城両県や北海道などから、第八三笠丸を含む計18隻が出漁し、9隻ずつ2グループに分かれて交代で操業しながら漁獲したサンマを洋上でロシアの加工母船に販売。このほか、同社所有の2隻が自由操業を実施した。
 全さんまによると、公海での総漁獲量は、試験操業だった前年比43%減の5003㌧、総漁獲金額は同49%減の3億5210万円と振るわなかった。同魚市場への水揚げ実績は、数量が約43㌧、金額が1810万円だった。
 清枝漁労長は「魚は年々減っており、どのような状況なのか行ってみないと分からないが、頑張って取りたい」と力を込める。
 鎌田社長は「大漁となって、皆さんの食卓にサンマが並ぶようになれば」と話していた。
 大船渡を出港した各船は北海道に向かい、解禁後は公海かロシア海域で漁を行う。
 大船渡には、25日ごろまでに初水揚げする見込みという。