イシカゲ貝養生を省力化 自動の砂詰め機 広田町の村上さんが開発 陸前高田

▲ 開発した砂詰め用の機械と村上さん

 オーダーキッチンなどの製造・販売を行う陸前高田市広田町のアートスタジオ代表・村上祐哉さん(27)が、同市の特産エゾイシカゲガイの成育で使う容器に自動で砂を詰める機械を開発した。基本的に手作業で行うことから、出荷までの過程で特に負担が大きい「砂詰め」の手間を軽減できるのが特徴。市内では6台の導入が決まっている。
 同市では、全国で唯一産業ベースでエゾイシカゲガイを養殖しており、高級二枚貝として料亭やすし店などで扱われる。東日本大震災で養殖施設が全壊したが、平成26年に出荷を再開。広田湾漁協は「広田湾産イシカゲ貝」の名でブランド化を進めている。
 村上さんは、宮城県の木工所勤務を経て数年前にUターン。大型木工品やFRP(繊維強化プラスティック)製品の製造を手がける個人事業を立ち上げた。
 その傍ら、父が営むホタテやイシカゲ貝養殖の仕事も手伝ってきた。自身も腰痛に悩まされ、最も負担が大きかったのが、イシカゲ貝養生用のボウル型容器にスコップで砂を入れる作業。「なんとかならないものか」と、省力化を図る機械の開発に乗り出した。
 私財を投じて試作に入り、構想から約3年。製造を担う花巻市の北進産業機械㈱からもアドバイスを受けながら、完成にこぎ着けた。
 大きさは、高さ1・9㍍、幅1・8㍍、奥行き1・6㍍。フォークリフトに乗せた容器に、砂はき出し口3基から、それぞれ原則8㍑の砂を同時に投入できる。手作業と比べて作業負担減に加え、消費時間も大幅縮小できる。
 村上さんは「完成できるのか不安もあったが、多くの協力で形となりうれしい。漁業者の高齢化が進み、イシカゲ貝に限らず作業の効率向上が求められていると思う。機械は、漁業の振興に役立つものとなってほしい」と期待を込める。