「森川海と人」を考察 9月に国際シンポ開催 生態系総合研究所 陸前高田市と住田町で

▲ 平成27年から実施している気仙川・広田湾調査活動などについても報告が行われる(写真は28年、陸前高田市)

 陸前高田市出身の小松正之氏が代表理事を務める一般社団法人「生態系総合研究所」は9月3日(火)~5日(木)の3日間、同市と住田町で「森川海と人」に関する国際シンポジウムと対話集会を開く。米国スミソニアン環境研究所のデニス・ウィッグハム氏の研究発表と、小松氏らが平成27年から展開している気仙川水系および広田湾での生態系調査などを踏まえ、山と海という資源活用の可能性について伝えるとともに、自然とのかかわりの中で気仙人が地域の未来をどう切りひらいていくべきかを考える機会とする。
 漁場や河川とかかわるまちづくりなどを研究する小松氏は27年、「気仙川・広田湾プロジェクト(森川海と人プロジェクト)」を立ち上げた。気仙川水系(気仙川本流上流と大股川、矢作川)と広田湾の生態系、五葉山や種山ヶ原の森林地域の現状を知ることで、生活が自然に及ぼす影響とその変遷について、科学的な見地から明らかにしようと試みている。
 今回のシンポジウムは、森と川と海の切っても切れない関係に着目し、米国内でも貴重な自然体系を持つ「チェサピーク湾」に関するデニス氏の調査報告から、針葉樹林の放置や人工的な護岸工事などを遠因とした環境への影響が、第1次産業の衰退にもかかわる重要な問題であることを考え直す機会とする。
 また、広田湾をはじめとした気仙地方とチェサピーク湾は、規模は異なるものの非常によく似た点が多いことから、スミソニアンでの研究や、チェサピークの地域政策についても学ぶ。同湾エリアでは湾内の公園や海洋博物館、歴史地区など、自然資源を生かした観光スポットも人気が高く、主催者は被災地の復興まちづくりのヒントを知るうえでも、「関心がある多くの人に聴講してほしい」と呼びかける。
 シンポジウムは、3日午後3時30分から陸前高田市コミュニティホールで、4日午後1時45分から住田町民ホールでそれぞれ開催。5日は、「漁業者集会」として広田湾漁協米崎小友支所で対話集会を開く。
 いずれも入場無料で、聴講者との質疑応答やディスカッションの時間も設定している。
 問い合わせは、生態総合研究所広報担当の堀口さん(℡080・1343・6119、メールhoriguchi_sz@rice-p.com)まで。