2019県議選/大船渡区は選挙戦へ 新人2人の争いに 陸前高田区は無投票濃厚 あす告示

 任期満了に伴う県議選は、30日に告示される。現職が勇退を表明した大船渡区(定数1、大船渡市)は、正式表明順に、ともに新人で元市議の伊藤力也氏(59)=三陸町綾里、無所属=と千葉盛氏(36)=猪川町、同=が立候補を予定しており、この2人による争いが確実な情勢。陸前高田区(同、陸前高田市、住田町)は、自民党公認の現職・佐々木茂光氏(61)=気仙町、自由民主クラブ=が3選を目指して名乗りを上げているほかに出馬の動きがなく、無投票の可能性が濃厚となっている。

 

 今県議選は9月10日(火)の任期満了に伴うもの。投開票は知事選、陸前高田市議選と同じ同8日(日)となり、県内16選挙区で定数48を争う。
 大船渡区では、議長も務めた5期目の現職・田村誠氏(70)=赤崎町、改革岩手=が今期限りでの勇退を表明。後継候補は擁立せず、伊藤氏と千葉氏の2人が出馬の準備を進めている。新人同士の一騎打ちは、定数が1になった平成19年以来初めて。
 伊藤氏は立候補に向け、6月28日付で市議を辞職。7月26日には正式に出馬を表明した。
 復興事業の完遂と、復興後を見据えた大船渡地域と内陸部の均衡ある発展に意欲を示す。観光・交流人口の拡大、道路アクセス環境の構築、子育て支援・介護・医療の充実などにも取り組んでいく考えだ。
 前哨戦は同氏後援会(阿部操八会長)が中心となり、地域回りに加えて市内16カ所でミニ集会を開催し、支援者や有権者と対話の機会を設けた。政党や団体への推薦要請、県知事選の候補者との連動はせず、独自の活動を進める。
 正式表明と同じ日に行った事務所開きには、支持者ら約50人が出席。市議2人も駆けつけた。
 告示日は、午前9時過ぎから大船渡町茶屋前の事務所前で第一声を行う。伊藤氏は「一人でも多くの有権者に、自らの政策を訴えていきたい」と力を込める。
 一方、千葉氏は6月中旬に出馬の意思を固め、今月6日に正式表明。同21日付で市議を辞職した。
 完全復興に向けた課題解決を図るため、県や周辺地域との連携を強調。子育てや結婚支援の充実、医療体制の強化、気仙沿岸地域と内陸部を結ぶアクセス道等の基盤整備などに意欲を燃やす。
 前哨戦は同氏後援会(鈴木祀治会長)が中心となり、地域回りを重点的に展開。政党や団体への推薦要請はせず、知事選に立候補した現職・達増拓也氏(55)と連動した活動を進める。
 今月25日に行われた事務所開きには、支持者ら約160人が参集。千葉氏が秘書を務めた元参議院議員の藤原良信氏、市議3人も出席した。
 告示日の第一声は、午前9時過ぎから赤崎町石橋前の事務所前で行う。千葉氏は「しっかりと自分の政策を訴え、選挙戦に挑んでいきたい」と話す。
 大船渡市では、ハード面を中心に復興が進んでいるものの、地域によっては復旧整備がまだ途上段階にあり、被災者の心のケア、地域コミュニティーの形成などへの対応が求められている。復興後を見据えた人口減少と少子高齢化への対策、産業振興、経済活動の維持などの課題も山積する。
 こうした中で迎える今選挙戦。両陣営からは「県議選に対する盛り上がりがいまひとつ」との声も聞かれており、選挙戦ではそれぞれの政策を広く訴え、特に関心が薄いとみられる若年層や浮動票の取り込みに結びつけられるかが注目される。
 陸前高田区では、佐々木氏以外に出馬の動きは見られず、無投票の公算が大きい。
 佐々木氏は6月1日、3選出馬を正式表明。政権与党との結びつきを強調し、▽復興の完遂▽産業振興▽地域医療の充実▽少子高齢化にかかる人口減少対策▽道路網の整備──の活動目標を掲げる。
 後援会では、地域回りや陸前高田、住田両市町での「語る会」を開催。7月28日の事務所開きには後援会(岡本紘一会長)の役員や支持者ら約80人が集まり、陸前高田市議4人、住田町議3人も出席した。
 選挙戦は、自民党や地域政党に加え、知事選に出馬した新人・及川敦氏(52)と連動。30日の第一声は午前9時から、高田町の市コミュニティホール前で行う。同日午後5時までにほかに届け出がなければ、無投票での3選が決まる。
 21日現在の有権者数は、大船渡市が3万1316人(男1万4913人、女1万6403人)、陸前高田市が1万6661人(男8075人、女8586人)、住田町が4804人(男2345人、女2459人)。