〝サヨナラ議会〟が開会 一般質問に4議員登壇 住田
令和元年8月30日付 1面
住田町議会9月定例会は、29日に開会した。任期満了に伴う町議会議員選挙(定数12)を来月に控えており、現構成議員では最後の定例会となる。初日は通告に基づく一般質問が行われ、荻原勝(無所属)林﨑幸正(同)佐々木春一(日本共産党)瀧本正德(無所属)の4議員が登壇。町が進めるCLT(直交集成板)工場誘致の現状や木工2事業体の未償還金対応、子どもたちが利用する公共施設のエアコン設置などで当局と論戦を交わした。
現町議の任期では最後
CLT工場の誘致を取り上げたのは林﨑議員。これまでの取り組み経緯などについて説明を求めた。
答弁で神田謙一町長は、平成27年に町内の事業所がCLTに関するセミナーを開催して以降、この事業所とともに県外の企業などと誘致に向けた話し合いを重ねてきたと報告。工場進出は雇用や経済活性化に加え、利用期を迎えた森林資源の活用につながるとし、今後も交渉を続ける姿勢を示した。
一方、林﨑議員は「(交渉企業体の工場進出先が)住田町ではないような話も出ている。自信を持って『来る』と言えるか」と再質問。神田町長は「町民にとってプラスになるもの、マイナスになるものを総合的に考えながら最大限の条件を提示している。今後も想定される事業費を試算しながら、条件を示したい」と答えた。
同議員は、三陸木材高次加工協同組合と協同組合さんりくランバーに対する総額10億円超の未償還金等の対応も追及した。神田町長は「財務分析結果を9月末までにいただくことにしており、その内容に沿って協議をする」と、6月定例会時と同様の答弁。資金繰りを支えるための再融資については、横澤孝副町長が「これ以上直接的な資金を出すことはできないと考えている」と述べた。
トップ登壇の荻原議員は、猛暑に対応できる施設整備について質問。避難所や災害対応活動でも利用される地区公民館や保育園、中央公民館図書室などにエアコンを設置すべきと迫った。
菊池宏教育長は町内五つの地区公民館のうち、世田米(まち家世田米駅)と、下有住の事務室には設置されていると説明。上有住は現在進めている改築事業の中で対応する考えを示し、他地区や図書室については「所管施設全体の管理や修繕などの状況を見ながら、設置を検討する必要性があると考える」と答弁した。
小中学校の普通教室には、1学期中にエアコン完備が終了。保育園では年少以下の教室には設置されているが、年長と年中の各教室では未整備で、扇風機の活用や風通しの良いホールでの生活といった対応が行われている。再質問で伊藤豊彦教育次長は「早めに設置していきたいと考えている」と語った。
佐々木議員は、介護労働者の実態について当局と論戦。介護労働安定センターによる平成30年度の介護労働実態調査の結果によると、全国の介護労働者の10%超が65歳以上で、60歳以上は20%超であるとし、町内の実情を尋ねた。
神田町長は、「町内の介護労働者は約150人で、80%以上が女性」と説明。20代は5・6%、30代は15・5%、40代は22・5%、50代は31%で、60代以上の25・4%のうち65歳以上は5・6%となっており、全国的な傾向に近い現状を明らかにした。
さらに、町の人材確保支援策として、地元就職者や雇用した町内企業に対する「若者職場定着」「新規学卒者雇用促進」の各奨励金などを列挙。介護事業所や新規学卒者、町内の就職を希望する若者らに情報提供を強化する方針も示した。
佐々木議員は再質問で、少子高齢化が進む中、各事業所では今後の介護人材確保に不安を抱えていると指摘。佐々木光彦保健福祉課長は「介護資源が限られている中、事業所相互の連携も含め、検討を進めていきたい」との認識を示した。
町の将来を見定めた諸策の展開を取り上げた瀧本議員は、鳥獣被害対策、大船渡市との定住自立圏形成協定、防災意識の高揚や特定空き家対策について、今後の展開を尋ねた。
神田町長は答弁で、少子高齢化などに基づく諸課題に対して、広域的に取り組むことで解決を図る意義を強調。
このうち、定住自立圏構想に基づく連携事項は▽生活機能の強化▽結びつきやネットワークの強化▽圏域マネジメント能力の強化──の3分野からなるとしたうえで、住民福祉の向上を図る方向性を掲げた。
瀧本議員は「住田らしい部分を取り入れてほしい。住田には不動産業者がおらず、移住者確保につながる空き家、空き地、空き農地、空き原野の情報発信も考えては」と提言。
横澤則子企画財政課長は、今後行われる具体的な調整の中で考慮したい意向を示した。
空き家対策に関しては、梶原ユカリ町民生活課長が答弁し、近く町として協議会を立ち上げ、課題解決に向けて重点的に取り組む方策を固める方針を掲げた。
今定例会には、本年度各会計補正予算や6月議会で否決された消費増税に伴う関係条例整備に関する議案に加え、平成30年度各会計決算の認定案件などが上程されている。
日程次の通り。
▽30日=本会議(一般質問、3人)、決算審査特別委、常任委▽31、9月1日=休会▽2〜4日=決算審査特別委▽5日=休会▽6日=本会議(議案審議、決算審査特別委報告など)