「かたらっせんすごろく」完成 学習支援の早大生制作 住田

▲ 世代を超えた交流充実に期待を込める阿部さん㊧と佐藤さん

会話が広がるよう質問カードの内容にも工夫を凝らした

 県立住田高校の研修会館内で町教委が運営している「住高ハウス○○」で、6日まで学習支援ボランティアに入っている早稲田大学人間科学部3年の佐藤秀さん(20)と阿部敬良さん(20)が、高校生と社会人らのコミュニケーションを引き出す「かたらっせんすごろく」を制作した。住高ハウスは生徒の自学自習だけでなく、地域に開かれた場を目指しており、2人は異世代交流の充実につながる活用に期待を込める。

 

住高ハウスで活用

異世代交流の充実見据え

 

 町教委は昨年10月から、生徒たちが放課後にゆったりと過ごせる場を確保しようと「住高ハウス○○」を運営。授業や部活動後のバスを待つ間に自習したり、就職や進学に関する相談を行う生徒らが多く訪れている。
 さらに、月1回程度のペースで、社会人を講師に招く「かたらっせん」も開催。気仙で生活し、仕事に就くやりがいなどを学び取る機会も設け、好評を博している。
 学習支援や地方創生に関心がある2人は2~6日の日程で支援に入り、期末テスト勉強に励む生徒たちの自学自習を支えたほか、運営スタッフから生徒と地域をつなぐ場としての思いも聞き取った。世代を超えた対話の充実につなげてもらおうと、支援活動の中で「すごろく」づくりに取り組んだ。
 佐藤さんは秋田県横手市出身で、阿部さんは雫石町出身。それぞれ大学進学を機に上京し、さまざまな世代と会話を交わす大切さを肌で感じた。自らが初対面の人と会話を交わした経験を生かし、大学の講義でよく用いられるというコミュニケーションをとりやすい雰囲気づくりに向けた「アイスブレイク」の手法を参考にした。
 すごろくには「質問カードを引いて答えよう」のマス目を設け、カードには「今いちばん欲しいものは。それがあったら、あなたの生活はどう変わるか」といった設問を用意。単に回答を聞くだけでなく、会話が広がるような工夫も凝らした。
 すごろくの後半には、自らで質問を考えるマス目が多いのも特徴。2人は「大学に進んで、自分の考えで問いかけることが大事と感じた」と、声をそろえる。
 佐藤さんは「自分の思いを言葉にする力がとても大切。コミュニケーションを高めるツールとして活用してもらえれば」、阿部さんは「住田ではどうしても、近い関係同士でのコミュニケーションになりがち。いろいろな人から話を聞く機会が生まれれば」と話し、活用に期待を寄せる。
 住高ハウスでは今月、町教委が受け入れるインターンシップの一環で、大学院生が自学自習サポートなどにあたる予定。すごろくは、大学院生と住田高校生との交流の中で使うほか、来月以降に開催する「かたらっせん」でも用いることにしている。