体制と観光ルート構築へ 気仙3市町が連携 陸前高田でインバウンド対策事業(別写真あり)
令和元年9月11日付 2面

気仙3市町が主催する「外国人観光客受入体制整備事業及び外国人観光客向け観光ルート造成事業説明会」は10日、陸前高田市高田町の市コミュニティホールで始まった。参加者らは気仙へのインバウンド受け入れに向け、その体制づくりと観光ルート造成を目的としたセミナー、ワークショップを展開。地域資源の掘り起こしやルートのテーマ設定などを行った。説明会は11日、大船渡市でも開かれる。
岩手県には近年、いわて花巻空港から直行便が就航する台湾や上海などアジア諸国を中心に、外国人観光客の訪問が増加傾向にある。しかし、内陸部での観光が中心となり、なかなか沿岸部に足を運んでもらえないという課題が生じている。
こうした現状を受け、気仙3市町は本年度、国の東北観光復興対策交付金を活用して「外国人観光客受入体制整備事業」と「外国人観光客向け観光ルート造成事業」を実施。外国人観光客らに気仙地域の認知度向上、地域資源を含む魅力の発掘・発信を行うための体制づくりを図ることとし、説明会は両事業の一環として企画した。
初回の陸前高田市会場には、同市と住田町から観光、宿泊、飲食店の関係者ら約10人が参加。開会行事や事業概要の説明に続き、セミナーとワークショップを行った。
講師は、観光マーケティング事業などを手がける㈱MAKES代表取締役の後藤直哉氏。セミナーでは、後藤氏がインバウンドの受け入れ体制整備に向けた各種施策について解説した。
この中では、外国人観光客が観光ルートを探す際、インターネットを利用して地名から画像を検索することが多いと説明。一方で、地名よりも「サムライ」「サクラ」「酒」などの日本文化を表す言葉が多く検索され、東北を強くイメージさせるものも多いとし、「こうしたキーワードと地名を合わせ、テーマコンセプトを作ってみては」などとアドバイスを送った。
また、インスタグラムの投稿をたどって行きたい場所を見つけると、地図アプリで観光施設などの概要や交通アクセスなどを調べる傾向にあることにも言及。地図アプリで検索した際にその施設の説明が日本語のみの場合は情報が得られず、利用を諦めるケースも多いとして、外国語に対応する必要性も示した。
後半は、観光ルート造成に向けたワークショップを実施。参加者らはそれぞれ景勝地や観光施設、人、産業などの地域資源をリストアップするとともに、ターゲット層なども検討し、観光ルートのテーマを設定した。
今後は来年2月まで全4回、陸前高田、大船渡の2会場でセミナーやワークショップを開催。10月の第2回では引き続き観光ルートの検討を進め、12月予定の第3回では台湾の観光関係者らによるモニターツアーを実施し、課題や見直しが必要な点を確認する。最終回では、観光ルート造成の発表会を予定している。