茨城に物流の新拠点建設 大船渡のアマタケ 来年5月に稼働予定

▲ 来年5月に稼働を予定するストックコントロールセンターのパース図

 大船渡市に岩手本社を置く鶏肉加工・販売の㈱アマタケ(甘竹秀企代表取締役社長)が、茨城県常総市向石下地内で新たな物流拠点「ストックコントロールセンター(SCC)」の建設を進めている。物流コストの削減を図り、多様化する買い手のニーズに対応する仕分けの最新設備や、商品を全国各地に効率よく配送するシステムを導入する。今月4日には現地で地鎮祭を実施。稼働開始は来年5月を予定している。
 銘柄鶏「南部どり」の生産・加工・販売を一貫して手掛けている同社。平成23年3月の東日本大震災では、盛町の本社など気仙両市の工場施設が被害を受けたが、各機能を大船渡に集約し、同年7月に生産ラインを再開させた。
 27年には、人気商品「南部どりのサラダチキン」など加熱加工品の生産効率向上と人材確保を図り、宮城県多賀城市で新工場の運用を開始。全国の量販店やコンビニエンスストア、通販等で同社製品の需要が高まる中、今後課題となる物流コストの削減にいち早く取り組もうと、今回の新拠点建設を決めた。
 商品の保管と仕分け、物流確保の機能を有するSCCは、鉄筋コンクリート造平屋建てで、延べ床面積が約2000平方㍍、敷地面積が約3400平方㍍。施設内には500㌧の冷凍倉庫や最新の温度管理システム、特注の自動仕分け機を備える。
 仕分け機はコンピューターと連動し、ベルトコンベヤーに載せられた約200種類の同社製品をオーダーに応じて細かく仕分けできる。同社によると、1日で約20㌧の商品を処理でき、これまで15人ほどで行っていた作業を3、4人で行えるようになるという。
 配送は、これまで仙台と関東の3業者に委託していたものを同センターに集約し、全国ネットの食品運送会社に依頼。配送管理システムでAI(人工知能)を活用することで、他社製品も同じトラックで運搬できるようにし、人手不足が叫ばれる運送業の負担軽減につなげる。
 また、SCCの近くには、高規格幹線道の圏央道が走っており、福島県沿岸を通る常磐自動車道や東北自動車道、関西、九州方面などの高速交通網にすぐアクセスできる。これにより、北海道から沖縄まで各地を網羅した物流コースを確保し、販路の拡大を図っていく。
 甘竹信吾常務取締役は「これまで商品の配送などは他の業者に委託していたが、新しい施設では、商品を知り尽くした自社の社員が温度管理などを行い、より安全で安心な食材を提供できるようになる」としたうえ、「会社としても、これまでの仕組みを変える大きな挑戦と思い臨んでいる。施設稼働後はより良い商品をお客さまに届けたい」と話している。