17日ぶり水揚げも不漁深刻 今季サンマ漁 大船渡(別写真あり)

▲ 17日ぶりに大船渡市魚市場に水揚げされたサンマ

 大船渡市魚市場に13日、8月27日以来17日ぶりにサンマが水揚げされた。今シーズンの水揚げは13日分含め52㌧で、前年の1割にも満たない深刻な不漁に見舞われている。先の見えない漁況に、関係者は不安と危機感を募らせている。

 

数量、前年の1割に満たず
先見えず、不安募らせる関係者


 この日水揚げしたのは、大船渡市赤崎町の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)が所有する第八三笠丸(199㌧、清枝光臣漁労長)。大船渡からおよそ2昼夜半離れた北太平洋の公海で10日夜から11日朝にかけて漁獲。サイズはほぼ中・小型で、入札の結果1㌔当たりの価格は750円~650円となった。
 清枝漁労長は「群れが薄く、果たしてこれからよくなるのか…。サンマ漁は50年やっているが、かつてない経験だ」と険しい表情をみせた。
 13日現在の大船渡市魚市場への水揚げ数量は計52㌧で、前年同期比511㌧減、金額は同約1億3000万円減。16日(月)にも水揚げが予定されているが、それも約6㌧にとどまる見通し。
 大船渡市大船渡町の鮮魚店「鮮魚うえの」の店先には13日、初水揚げ以来17日ぶりにサンマが並んだ。同店には宅配の注文も数多く来ていたが、水揚げがないために対応が遅れていたといい、上野英明店主は「お客さんからの問い合わせも多かったので、きょうの水揚げは素直にうれしい」と語る。
 ただ、今年は不漁が続いていることもあり、サンマの値段は高めで推移。昨年はこの時期、1匹150円で販売していたが、同日は高いもので250円となった。「例年と比べると型も小さいし、値段も高い」。上野店主は久しぶりの水揚げに喜びつつも、今後の漁況に不安をのぞかせる。
 市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱の佐藤光男専務は「先が見えず、厳しいとしか言いようがない。今後に期待するしかない」と話していた。
 一般社団法人漁業情報サービスセンターが今月9日に発表した「サンマ中短期漁況予報」によると、三陸海域には9月中旬から10月中旬は来遊がなく、同月下旬は三陸海域に漁場が形成される可能性があるが、漁場は沿岸から遠く離れた沖合になるとの予測が示されている。
 サンマ加工品などを手がける森下水産㈱の森下幹生社長は「かつては9月前半に工場がフル稼働だったこともある。今年は9月末からフルでやっていこうという計画だが、このままサンマが取れなかった場合には対応策を考えて雇用と稼働を守っていかなければならない。『なんとかなるだろう』とは言っていられない」と危機感を募らせる。