一路、高台目指す 道の駅などが津波避難訓練 陸前高田(動画、別写真あり)

▲ 道の駅や伝承館にいた人たちが、気仙大橋をわたって気仙町今泉地区の高台を目指し避難した

誘導の課題なども確認

 

 陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内に整備された道の駅「高田松原」と、東日本大震災津波伝承館(いわてTSUNAMIメモリアル)、東北国営公園による合同の津波避難訓練は18日に行われた。施設関係者と来場者ら69人が、津波襲来が想定される際の高台までの避難経路を確認。スタッフらは実際の災害が起きたときの誘導のあり方についての課題も点検した。
 道の駅や伝承館などが22日(日)に本開業するのに先立って実施された訓練。午後2時46分に宮城県沖を震源地とするマグニチュード6・5の地震が発生し、陸前高田市では震度5弱を観測、県沿岸部に津波注意報が発表されたという想定で行われ、プレオープン中の道の駅を訪れた一般来場者も訓練に加わった。
 訓練では、地震発生とともに場内アナウンスが流れ、店内にいた人々が個々の身の安全確保を図ったのち、津波注意報を受けて屋外へ。高台へ逃げることについて店員が大きな声で知らせ、客らの先頭に立って移動を始めた。
 参加者は気仙大橋を渡り、施設から約2㌔先の高台にある気仙小学校(海抜49㍍)まで徒歩で避難。津波到達予定時刻の10分前には、ほぼ全員が高さ約12㍍の気仙大橋を渡り切り、小学校までおよそ30分かけて移動した。
 訓練終了後、道の駅を運営する㈱高田松原の熊谷正文社長は「早い人で25分ほどの移動時間だったが、後方のグループとの距離が開いてしまう場面もあった。万一の時はもっと多くの人を誘導することになる。より慎重かつ、迅速な誘導を念頭に置かなくてはならない」と述べ、まだまだ訓練に検討の余地がある点について注意喚起した。
 道の駅に産直コーナーを設ける農事組合法人採れたてランド高田松原の船本恵子さん(46)は、東日本大震災発生時に旧・道の駅では犠牲者が出なかったことを挙げ、「新しい道の駅でも全員の命を守れるようにしたい。きょうは皆さん落ち着いて指示を聞いてくれたが、いざとなったら私たちももっと慌てるはず。体が不自由な人の避難など、考えなければいけないことが多くあると思った」といい、「大きな被害を受けたまちだからこそ、私たちがお手本にならなければ」と決意を新たにしていた。