生徒主役の情報発信を 「住高ハウス」でSNS活用 住田

▲ 生徒と交流を深めながら準備を進める稲葉さん(右から2人目)

 住田町教育委員会が県立住田高校の研修会館内に開設している「住高ハウス○○」で20日から、利用する生徒たちが自主的にSNSで情報発信できる取り組みが始まる。同施設で自学自習支援事業指導員を務める稲葉大輝さん(23)=筑波大学大学院=が中心となって準備を進め、生徒たちの「生の声」を伝えるなどして、地域内外の関心喚起を図ることにしている。

 

支援員の稲葉さん準備

 

 稲葉さんは大学院で、観光によるまちづくりや観光教育、地域住民との協働などについて研究。今月9日から約1カ月間の予定で指導員として赴任し、生徒たちと交流を深めながら運営を支える。
 昨年10月に開設した住高ハウスは、クラブ活動を終えた生徒たちが立ち寄り、帰りのバスが来るまでの間に自学自習や地域の社会人らと交流を深める場などとして定着。校内には「まるまる通信」などを掲示しているが、地域内外の住民に対して施設内での取り組みやイベントの告知が周知できていない。
 稲葉さんによると、地域づくりを進めるうえで情報発信が課題となり、住民らが「ここには何もないから」「伝えることがない」と、消極的でいるケースが少なくないという。着任以降、生徒自身が気軽に情報発信に携わる仕組みづくりを探ってきた。
 第1弾として始めるのが、SNSのフェイスブックによる情報発信。専用アカウントを立ち上げ、運営スタッフが普段の利用状況や生徒たちに課している「今日の一題」などを定期的に投稿する。公開された投稿に利用する生徒たちがコメントを加えていくことで、情報に「生の声」を充実させる。
 来週には、「インスタグラム」による情報発信も開始。写真選定などを生徒たちに委ねることにしている。
 同校は本年度の入試から「県外枠」を設ける予定。稲葉さんは「さまざまな広報があるが、生徒自身の感想を生で伝える媒体は少ない。地域内外の保護者世代や、中高生に普段の様子や魅力が伝われば。情報発信でも、生徒たちが主役になってほしい」と話す。
 着任以降、地域の大人世代と気軽に交流でき、相談できる場としての魅力を感じ取ってきた稲葉さん。「ここには親や教師との〝縦の関係〟や、生徒同士の〝横の関係〟でもなく、地域住民とふれあう〝斜めの関係〟がある。発信した情報が蓄積されることで高校生活の思い出が残り、卒業生にも目を向けてもらえるのでは」とも語り、期待を込める。