「クロモジ」で商品開発 地域に自生する落葉低木 精油をアロマオイルなどに 大船渡

▲ 佐藤さんが商品化したクロモジのアロマオイル㊨とアロマウオーター

 大船渡市日頃市町に「さとう整体療術院」を構える佐藤健さん(44)が、同町の五葉山ふもとに自生するクスノキ科の落葉低木「クロモジ」の精油を使ったアロマオイルとアロマウオーターを開発した。「地元のものに価値を見いだしたい」との思いから、心や体にさまざまな効能がありながらも、地元では刈り取っても使われることのなかったクロモジに目を付けた。今後はさらに改良を進め、広く海外に向けても発信していく。

 

日頃市の佐藤さん

 

 クロモジは、本州から九州の山地に自生している。樹皮には森林を思わせる特有なさわやかな香りがあり、樹皮を残したクロモジの材で作られた爪楊枝は高級品として知られるほか、細工物などにも使われている。
 和精油としては、せっけんや香水、化粧品の香料として明治時代から日本人に親しまれている。さらに、精油したものは抗菌、抗ウィルス、消炎作用などに加え、精神的なリラックス効果もあるといい、枝から葉まで余すことなく活用できるという。青森県の白神山地や静岡県の伊豆、和歌山県の熊野エリアなどでは名産として売り出している。
 昨年末ごろ、佐藤さんは知人からクロモジについて教えてもらったのがきっかけで、春先に山に入ってクロモジを探したり、効能について調べていく中で、この可能性に満ちた木を「放っておくのはもったいない」と商品化を決めた。
 蒸留して精油したものをアロマオイル、精油とともに抽出された水をアロマウオーターとして商品化しようと、院内の一室で試行錯誤しながら研究を進め、今月、商品として完成させた。パッケージ、ボトルは「海」をイメージした高級感あるものに仕上がっており、アロマオイルは1本2㍉㍑入り、アロマウオーターは1本100㍉㍑入り。
 佐藤さんによると、精油できる量は非常に少なく、4~5回の蒸留で50~60㍉㍑しか生産できないという。これまでの製造分は予約完売状態で、「質を高めながら少しずつ生産量を増やして展開していけたら。ここだけにとどまらせずに、広く発信していきたい」と話す。
 近年は日本への外国人観光客が増加しており、20日に開幕したラグビーワールドカップや来年の東京オリンピックを契機にさらなる訪日客が見込まれることから、外国人に対してもPRしていきたい考え。
 正式な価格は、今後の生産体制を見ながら決定していくこととしている。
 商品についての問い合わせは、さとう整体療術院(℡22・7525)まで。