「収穫の秋」いよいよ到来 各地で稲刈りスタート 気仙(別写真あり)
令和元年9月22日付 7面
気仙地方は21日、やや雲が多かったものの穏やかな一日となり、各地で黄金色に実った稲刈り作業が行われた。今年は春から夏にかけて不安定な気候が続いたが、生産者の地道な管理が実り、例年並み以上の収穫が見込まれる。山あいに響くエンジン音が、収穫の秋到来を告げる。
黄金色を前に生産者も笑顔
緑豊かな山々に囲まれる中に、のどかな農村風景が広がる住田町上有住の天嶽地域。深渡地内に暮らす熊谷善治郎さん(89)は、自宅近くに広がる黄金色に染まった田でコンバインを使った刈り取り作業を行った。「ひとめぼれ」など約0・8㌶を手がける。
手伝いに訪れた知人らとともに、コンバインを田に入れるための「すみ刈り」を手作業で行ったあと、熊谷さんが運転席に乗り込み、収穫の喜びを味わうかのようにゆっくりと操作。頭を垂れた稲穂が次々と刈り取られた。
熊谷さんは半世紀以上、自然農法を続け、無農薬や土づくりにこだわってきた。田植え直後の低温や、梅雨明け以降の猛暑などを乗り越えた稲を前に「今年の出来は、まずまずかな。春先から、この風景を楽しみにやってきた」と話し、笑顔を見せた。
この日は3連休の初日とあって、各地の田には多くの地域住民が集まり、収穫作業で汗を流した。大型で強い台風17号が北上していることから、22日以降の天候変化を心配する声も聞かれた。
収穫期に入り、消費者としては新米のおいしさを早く味わいたいところ。29日(日)午前10時〜3時に上有住の滝観洞観光センターで開催される「秋の味覚まつり」では、上有住での収穫米が昔ながらの釜で炊き上げられ、来訪者に無料でふるまわれる。
東北農政局発表の作柄概況(8月15日現在)によると、気仙3市町を含む岩手県東部は平年に比べ「やや良」となる見込み。県全体も「やや良」で、全もみ数は(穂数×1穂当たりのもみ数)は「やや多い」。開花や受精から成熟期までのもみ肥大、充実を示す「登熟」は「平年並み」が見込まれる。