不漁に負けず 3333匹提供 生サンマを炭火焼きで 東京タワーさんままつり(別写真あり)

▲ 不漁が続く中、大船渡に水揚げされたサンマ3333匹を無料で提供

 本州一の水揚げ実績を誇る大船渡のサンマを首都圏でPRするイベント「三陸・大船渡東京タワーさんままつり」(同実行委主催)は23日、東京都港区の東京タワー屋外特設会場で開かれ、多くの来場者でにぎわった。今季のサンマ漁は極端な不漁に見舞われているが、この日は大船渡港に水揚げされたサンマを何とか確保し、3333匹を炭火焼きにして提供。来場者に復興へ歩む水産業と、水産のまち大船渡を発信した。

 

大船渡の秋の味覚をPR

 

 同まつりは、「三」陸、「サン」マ、東京タワー開業の昭和「33」年、タワーの高さ「333」㍍という「さん」のつながりを生かして大船渡の知名度向上を図ろうと、平成21年にスタートした。震災後も東京都側の関係者による応援を受け、継続開催している。
 今年も市や県、市内の水産、観光、飲食店などで構成する実行委(会長・戸田公明市長)が主催し、㈱東京タワーが共催。六本木探検隊が協賛、港区と同区観光協会が後援、首都圏さんりく大船渡人会などが協力した。
 漁期序盤からサンマの不漁が続く中、今年は昨年水揚げされた冷凍サンマの使用も検討されていたが、19日におよそ40㌧が水揚げされ、生サンマの提供にこぎつけた。
 未明まで降り続いた雨もイベント前にはやみ、青空が広がる中での開催に。開会式では、戸田市長のあいさつに続き、武井雅昭港区長、㈱東京タワーの前田伸社長が歓迎の言葉を述べた。
 会場では、気仙など全国各地から駆けつけたさんま焼き師のボランティアや実行委ら合わせて約30人が腕を振るってサンマを焼き、大根おろしや鹿児島県肝付町から提供された辺塚だいだいを添えて無料で提供。朝早くから行列をつくった来場者は、次々とサンマを手に取り、旬の味覚を存分に味わっていた。
 昨年、さんま焼き師に認定された肝付町の公務員・溝口清隆さん(43)は今回が実践デビュー。「先輩焼き師から教わりながら、大船渡のサンマのおいしさを十分に引き出せるよう頑張りたい」と汗を流した。10月に同町で開かれるやぶさめ祭でも大船渡のサンマを炭火焼きで振る舞う予定で、「大船渡のサンマを広くPRしていきたい」と意気込む。
 第1回から欠かさずまつりに足を運んでいるという目黒区の安井義則さん(76)は、午前4時に並んで一番乗り。「やっぱり大船渡のサンマはおいしい。特に焼きたては格別です。この場で食べられるのはこの日だけ。イベントを続けてくれて感謝です」と笑顔で語り、熱々のサンマを頬張っていた。
 例年、サンマに合うしょうゆを提供してきた千葉県山武市が台風15号で被害を受けたことから、支援に向けた募金活動も行われた。また、サンマのすり身汁や恋し浜ホタテの炭火焼き、特産品販売も行われたほか、ステージでは末崎町出身のシンガーソングライター・濱守栄子さんのライブ、全日本学生応援団による「大船渡エール」などさまざまな催しが繰り広げられた。