国営追悼施設の一部が供用開始 高田松原津波復興祈念公園 陸前高田(別写真あり)

▲ 防潮堤上の「海を望む場」から見た、国営追悼・祈念施設部分と、道の駅および津波伝承館の建物

 東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市に整備された「高田松原津波復興祈念公園」は22日、国営追悼・祈念施設にある献花の場や、「奇跡の一本松」見学ルートなどが供用開始された。公園内にある震災津波伝承館(いわてTSUNAMIメモリアル)、道の駅「高田松原」も正式に開業。岩手、宮城、福島の被災3県に1カ所ずつ整備される復興祈念公園のうち最も早いオープンとなった。公園全体の完成は令和2年度末を予定している。(4・5・7面に関連記事)

 

津波伝承館もオープン

道の駅と一体的に整備

 

 この日は高円宮妃久子さまご臨席のもと、現地でオープン記念式典が挙行され、国と県、市の関係者らが出席。震災犠牲者への献花や、奇跡の一本松で作られたバイオリンを持つ式町水晶さんによる演奏、テープカットなどが行われた。
 赤羽一嘉国土交通大臣は「追悼と鎮魂、教訓の伝承、復興の発信という三つの役割を持つ施設として、地元の意向もくみながら整備してきた。2年度末までの完成を目指し力を尽くす」と、戸羽太市長は「教訓の伝承はわれわれの責務。にぎわいの場をつくり出すと同時に、わかりやすい形で教訓を伝えていけるようにしたい」と語った。
 復興祈念公園の総面積は約130㌶で、令和3年3月に全体の完成を見込む。完成後は旧・道の駅高田松原(タピック45)や旧気仙中学校といった震災遺構について、3年度の内部公開スタートを目指す。
 今回、供用が開始された公園エリアのうち、国営追悼・祈念施設の一部として防潮堤の上に設けられた「海を望む場」は、高田松原を含めた広田湾を一望できるスペース。
 震災後からこれまで、高田松原のマツ植栽地や砂浜は一般には公開されておらず、マツ林再生活動に携わる人や、県による復興状況見学会開催時など、限られた機会にしか見ることができなかった。今も一般客が砂浜に立ち入ることはできず、遊泳再開までは時間を要するが、市民にとって特別な思い入れがある松原の状況を日常的に望めることになる。
 また、「奇跡の一本松」見学ルートも園内に整備。国道沿いを遠回りする必要がなくなった。
 開業初日のこの日は、午後1時30分の一般オープン開始直後から、道の駅、津波伝承館ともににぎわいを見せた。「海を望む場」に立ち松原を眺めた人からは「すごい」という声が上がり、そこから一本松やユースホステルまでの見学路を歩く人らの姿も目立った。
 追悼・祈念施設、道の駅の利用時間は11月30日(土)までの午前9時~午後6時(12月1日~2月28日の冬期間は午後5時まで)。津波伝承館は通年、午前9時~午後5時。
 市は今月28日(土)、29日(日)にも夢アリーナたかた、JR陸前高田駅、長部漁港水産加工団地の各臨時駐車場からシャトルバスを運行する。始発は午前9時。