1年ぶりに「ようこそ」 16回目の入港 ぱしふぃっくびいなす 大船渡(動画、別写真あり)

▲ 市民を挙げて16回目となった「ぱしふぃっくびいなす」の入港を歓迎

 日本クルーズ客船㈱(本社・大阪府大阪市)が運航する客船「ぱしふぃっくびいなす」(2万6594㌧、仲田敬一船長)は22日、大船渡市の大船渡港野々田ふ頭に入港した。1年ぶり、通算16回目の来市となり、ふ頭では世代を超えた市民らが温かく入港を歓迎。乗船客らも市内観光や大船渡駅周辺地区での買い物を楽しむなどし、思い出深い一日を満喫した。
 平成29年から、市の「おおふなと特別観光大使」も務めるぱしふぃっくびいなす。今回は、自社クルーズ「秋の東北・三陸クルーズ」(横浜発着、3泊4日)で乗客と乗員約680人とともに訪問。大船渡港を核としたにぎわい、商業・観光の拠点とする「みなとオアシスおおふなと」が国の登録を受けてからは、初入港となった。
 心配されていた降雨もなく、ふ頭では約100人の市民らが集まり、午前7時40分ごろからオープニングアトラクションがスタート。綾里大権現や大船渡商工会議所女性会による太鼓演奏と権現様の踊りで、乗船客らを出迎えた。
 入港歓迎セレモニーでは、戸田公明市長が「大船渡に滞在していただく時間はわずかだが、秋の岩手、三陸、大船渡の風景、味の数々、人々のふれあいを楽しんでもらえれば幸い」とあいさつ。花束や記念品、返礼品の贈呈が行われた。
 仲田船長は「約1年前に見た景色と違い、復興の力を感じた。大船渡のまちに出て、景色を見て、市民の方々と話をすることがわれわれができるお手伝いの一つ。濃密な交流を深め、楽しみたい」と述べた。
 ふ頭には、観光案内所や特産品販売コーナーなどが設けられ、乗船客らが買い物を満喫。初企画の三陸ジオパークVR体験コーナーでは、専用機材を通じて碁石海岸などの雄大な自然を間近にし、人気を集めた。
 富山県魚津市から訪れた青木公治さん(85)、由紀子さん(78)夫妻は、久々の大船渡訪問。由紀子さんは「みんな時間がたつと震災を忘れてしまいがちになるが、忘れてはいけないと思っている。前回は碁石海岸に行ったが、今回はタクシーで中心街などを巡り、三陸鉄道にも乗って復興の様子を確認したい」と話していた。
 このほか、公募で決まった市民らを対象にした船内見学会、子ども船長服記念撮影も好評。午後には乗船客と乗務員向けに、サンマの炭火焼きや郷土菓子・なべやきを振る舞う試食コーナーも設けられた。
 夕方には、寄港御礼アトラクションも実施。集まった市民らは再会を願いながら、横浜へと向かう白い船体に感謝の思いで何度も手を振り続けていた。