高田沖、金色の野に 復旧後初「実りの秋」 陸前高田

▲ 新しい道の駅などからも望むことができる高田沖農地。奥にはかさ上げ部の中心市街地が見える(本社ドローンで撮影)

 今年の春に復旧工事が完了し、地権者に引き渡された陸前高田市の高田沖地区(28㌶)の農地が、東日本大震災後初めての「実りの秋」を迎えている。稲穂の色は日ごとに濃さを増しており、国道45号沿いの新しい道の駅「高田松原」付近や高田町の市街地、気仙町の高台などからもその美しい光景を望むことができる。
 東日本大震災の津波により、同市では約380㌶の農地が被災。
 このうち小友(89㌶)、下矢作(20㌶)、広田(27㌶)、高田沖の4地区は、農地を整形して大型化し農道や排水路も整える「ほ場整備」による復旧が行われ、小友地区と下矢作地区、広田地区は平成29年春までにすべての農地が生産者に引き渡された。
 国道45号沿いに整備された道の駅「高田松原」や津波伝承館の向かいあたりから、国道340号沿いへと広がる高田沖地区は、復興土地区画整理事業のかさ上げ工事に用いる土砂の仮置き場となったことから、今春まで復旧整備に時間を要した。
 畦畔を含めた農地全体の面積は28㌶(水田27㌶、畑1㌶)で、地権者は約170人。
 今後も補完工事が行われる予定で、本換地は来年以降になるが、作付け自体は可能となったことから、今年5月に供用を開始した。さっそく9割以上の土地が利用され、飼料用の稲などはすでに刈り取りまで終わっている。
 高田沖を含む一帯は長く復興事業が続き、この春まで土砂がむきだしの殺風景な大地が広がっていた。現在も復興祈念公園の整備などにより多くの工事車両が行き交うが、取り戻された豊穣の秋の景色が一服の清涼剤となり、見る人の心を和ませている。