来春着工へ計画承認 再生可能エネルギー推進協 下有住に風力発電11基整備 住田

▲ 風力発電整備などの基本計画を承認した再生可能エネルギー推進協議会

 住田、遠野両市町にまたがる地域での風力発電整備に向けた施設整備や売電収入を生かした地域活性化などを協議する第3回住田町再生可能エネルギー推進協議会(会長・紺野勝利農政課長、委員9人)は24日、町役場で開かれた。協議では、農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画を承認。来年春の着工、令和5年度からの本格操業が見込まれる。
 風力発電整備は㈱グリーンパワーインベストメント(本社・東京都、坂木満社長)が計画。町が設置した協議会は、昨年12月以来の開催で、委員全員が出席した。
 事務局からは、整備計画地内は今月、農業振興地域の計画範囲から除外する手続きを終えたことが報告された。協議では、発電設備を整備する区域や規模、農山漁村地域の活性化策などを盛り込んだ基本計画を承認した。
 前回の協議会以降、新たに設備整備対象地を明確化するため土地の分筆を行ったことで、対象地の整理を図った。また、発電設備の規模は、これまでの風力発電1基あたり3600㌔㍗から、4200㌔㍗に引き上げた。安定した電力量を確保する機能向上を目的とし、売電予定量を上げるものではないという。
 対象地区域は下有住火の土地内の牧場など10万8434平方㍍で、このうち農用地面積は3万7118平方㍍。住田町内に風力発電機11基を、遠野市内に17基を設ける。案に対して委員から異論は出ず、基本計画は近く町長決裁を経て正式決定となる。
 着工目標は来年春で、完工目標は令和5年春。整備により、町は20年間で15億円程度の税収増を見込む。事業者側では建設、運転保守業務などで地元採用を進めることにしている。
 議事終了後には「近隣自治体での太陽光発電整備では、土砂災害や地元住民の理解が不十分なケースも見られる。今後の整備では、問題が生じないように」との発言も。農地所有者である町と発電事業者は、自然への影響を最小限にとどめるよう、関係機関と連携をとりながら進める考えを示した。
 基本計画では、事業者は発電で得られる売電収益の一部を資金協力し、地域の農林業の健全な発展や地域の活性化に寄与することが盛り込まれた。協議会終了後、委員を務めたグリーンパワーインベストメント事業開発部第4グループの仁平裕之プロジェクトマネジャーは「火の土地域をはじめ住田の活性化に寄与できるよう、地域の方々とともに、具体策を考えていきたい」と話していた。