カフェ部門、営業終了へ 「漂流ポスト」活動に注力 陸前高田(別写真あり)
令和元年9月27日付 7面
陸前高田市広田町にあるガーデン・カフェ「森の小舎」は、30日(月)でカフェとしての営業を終了する。店主の赤川勇治さん(70)が平成26年に開設した私書箱「漂流ポスト」の取り組みに全力を注ぎたいとの思いからで、コーヒーの提供といった有償の営業は終わるが、施設そのものの運営は継続。赤川さんはこれまでと変わらず、「ポストを訪ねてくれる方や、ここで過ごしたいという方たちをお迎えしたい」と話している。
「森の小舎」今月末で
施設はこれまで通り継続
森の小舎は横浜出身の移住者である赤川さんが平成22年にオープン。入舎料800円でコーヒーとお菓子がふるまわれ、DIYによって整えられたベンチやあずまやなど、ガーデンスペースで何時間でも自由に過ごすことができる。周囲が森に囲まれているため、東日本大震災直後は「津波のことを忘れられる」と、被災した人たちが癒やしを求めて訪れた。
発災から3年が経過した26年3月、赤川さんは亡き人への〝宛てどころのない手紙〟を届けられる場所として「漂流ポスト」を開設。人に話せずにいる苦しい胸の内をつづった手紙が全国から寄せられ、震災遺族だけでなく、なんらかの形で大切な誰かを失った人々の心のよりどころとして広く知られるようになった。
ポスト設置当初は手紙が届くだけだったが、いつしか投かんした人が「おかげで立ち直れました」などと直接同店を訪れるように。漂流ポストを題材にし、29年に公開された短編映画「漂流ポスト(英題:The Drifting Post)」が、フランスのニース国際映画祭で外国語短編映画部門最優秀作品賞を受賞してからは、外国人が訪れるまでになった。
赤川さんはここ数年、漂流ポストの存在意義や役割の変化を感じていた。シンボルとしてのポストが置かれた森の小舎そのものが、「亡き人の存在を感じられる場所」となってきていることだ。
また、同店の敷地内に建てられ、届いたはがきや手紙を閲覧できる「漂流ポスト小屋」は、手紙を出した人同士が集まり、互いの悲嘆を「否定されることなく話せる場所」としても機能し始めた。「悲しみを静かに受け止めてくれる存在」として、赤川さん自身を訪ねて来る人も多い。
一方で、同店は週末ともなると大勢のカフェ利用者でにぎわう。赤川さんは「コーヒーをいれたりしている間は、ポストのために来てくださった方々のお相手がどうしてもおろそかになってしまう」というジレンマがあったという。
今年7月に70歳となったことを一つの区切りとし、赤川さんはカフェ営業の終了を決断。大震災発生から丸10年を迎える再来年に向け、漂流ポストの管理人としての役割に注力しようと心を決めた。
「震災から8年半。地元の方への恩返しのつもりでやってきたカフェ・森の小舎としての役目は、果たすことができたと思う」と赤川さん。「でも〝お店〟でなくなる以外、今までと何も変わらない。『お金を払わないと来づらい』という方もいるが、飲み物も食べ物も持ち込んでもらって構わないので、これからも変わらず気軽に足を運んでもらえれば」と話している。






